終わらない恋。
それは物心がついたころから始まった。
デビューをしたばかりのグループにいた彼を、私はキラキラした眼差しで見つめていた。メンバーは他に数人いるのに真っ先に彼の名前を覚え、その優しい笑顔に心を奪われてしまった。
デビューして数年はどん底にいた彼らだったが、努力を重ね、階段を一歩ずつ登るように。気づけば、誰もが知る国民的なグループへと成長を遂げた。そんな彼らとともに、私も幾度の困難を経験しながら1人の人間として成長をしていった。
地獄のような高校生活の中で、テレビに映った彼を見て心を奪われた
中学を卒業すると、恐らく私にとって人生最大の汚点ともいえる地獄のような高校生活が始まった。巷の高校生と同じような楽しい日々は、クラスメートの心ない言動によって無惨に奪われてしまった。
私の取り柄でもあった笑顔も、誰かと話すことの喜びも、一瞬で消えた。学校での時間を毎日必死に乗り越えると、ぷつりと糸が切れたように毎晩大粒の涙をひたすらこぼした。朝なんてずっと来なければいいのに、とどれだけ思ったことか。
そんな日々を過ごす中で、ふとテレビの画面に彼が映る。彼だって芸能界の荒波に揉まれながら、辛いことなんて沢山あるはずなのに、いつもいつも太陽のように笑っていた。その姿がとても眩しくて、霞んだ心に光が差し込むような感覚がした。
「楽しいから笑うんじゃなくて、 笑っているから楽しくなる」。彼が呟いたその言葉で私は、失いかけていたものに気づいたような気がした。
彼の「笑顔」がなければ、きっと今の私はいない。彼は私にとって恩人
彼の笑顔がなければ、彼が心に寄り添ってくれていなければ、きっと今の私はいない。追い詰められて命を経っていたかもしれないし、笑い方を忘れてしまっていたかもしれない。彼は私にとって恩人なのだ。感謝してもしきれない大切な存在。
皆勤賞を取り、晴れて高校生活に終止符を打つと大学生活が始まる。優しい仲間に囲まれて共に夢に向かって歩んでいくことに、大きな喜びを感じた。そして、毎日朝を迎えることがこんなに幸せなのだと心から感じた。
それだけではない。やっと彼に会えたのだ。2回会えたうち、1度は私に向かってあの笑顔でピースサインをくれた。その何気ない仕草ひとつで、ここまでの頑張りが報われたような気がした。
そしてまた彼のおかげで、過酷な実習期間や最大の山場である国試を乗り越えることができた。15年越しの夢を叶えた時、これまで見たことのないほどの大きく綺麗な虹を見た。
社会人になり3年経つけど、今も彼の言葉が私の道を作ってくれている
社会人になって、今年で3年が経つ。もちろん現在も彼のファンだ。「誠実にやっていればいい形に繋がる」。「どれだけ失敗しても、ひとつうまくいけば成功に変わる」。何かに躓き、悩んだ時、彼の言葉がそっと目の前を照らし、道を作ってくれている。
こんな私にも彼氏ができ、彼をずっと好きであると知ってからはやたら嫉妬をしている。彼が映ると画面を隠したり、チャンネルを変えようとしたり。遂には「彼に私を取られてしまう」とまで言っていて、こちらがびっくりしてしまう程だ。
だけど、これから先、たとえ結婚しても彼のファンは続けるし、子どもができた時には彼のことを教えたい。彼は私にとって恩人であり、私がなりたいと思える人間そのものだから。
「誰かが応援してくれるなら、それがたとえ1人だけだとしても、僕はその人を笑顔にする」。彼の笑顔も言葉も行動も、すべてが私の原動力だとはっきり言える。彼が今日も明日も笑顔でいてくれるよう願いながら、私も笑顔で毎日を過ごせるように頑張りたい。
またいつかどこかで笑顔で再会できる日を夢見て。これが私の終わらない、いや終わらせることのできない恋の理由だ。