生真面目で、完璧主義で、自己肯定感が低い私は…

私はいわゆる「病みやすい」人間である。というより、最近になって、ようやく自分がそういう傾向を持っていることを理解できるようになってきた。
生真面目で、完璧主義。自己肯定感なんてないというよりマイナスで、心の底であんまり自分という人間が好きじゃない。
だから好きだと言ってくれた人に依存する。そんな恋愛を繰り返してきた。

そんな私が、「元気」のために――というとなんだか私には積極的すぎるので、もう少し消極的に「病まないために」と本当は言いたい――していることは、これだ。
高校からの親友に、毎日寝る前に、LINEで、「今日できたこと」を報告すること、である。

彼女とはネガティブな者同士、理解しあい、冷静な判断が下せる

きっかけは、去年の夏。私の失恋だった。
去年の今頃は、まだ自分の依存体質だとか、幼い頃に満たされなかった愛情欲求だとかをまだそこまで言語化できていなくて、懲りずにそれまでと似たような系統の男の人――つまり、モラハラ気質で寂しがり屋で、ついつい面倒見てあげたくなってしまう仔犬みたいな男の人――を好きになり、お約束通り、もともと好きじゃない自分のことがもっと嫌いになり、苦しくなり、重くなり……そのままフェードアウトされた。

なーんで私たちって、いっつもこうなんだろうね?

彼からの連絡が途絶えた数日後、武蔵小杉の高架下のカフェレストランで、私は高校時代からの親友に、彼への恨みとも未練ともつかないような愚痴をぶちまけていた。

彼女とは、高校一年生の時のクラスが一緒で、入学後の席が隣だったことから仲良くなった。連絡が途絶えることもあったけれど、なぜかずっと繋がっていて、会えばまるで昨日も会っていたかのように話ができる。私の数少ない大切な友人の一人である。

高校生だった当時は知る由もなかったが、最近になってなぜ私たちはこんなに馬が合うのかがわかった。
それは、私たちが二人とも、自己肯定感が低くて、自分に自信がなくて、すぐに苦しくなってしまう体質が似ていたからだった。
ちなみに、彼女も仕事はできるのに、苦しい恋愛をすることが多い。

マイナス同士がプラスになるのは数学の話だけかもしれないが、ネガティブな者同士、他の人には言えないような話を、彼女になら話せるし、何より、私たちは他人のことなら冷静に、論理的な判断が下せる。
その上お互いの思考回路が手にとるようにわかるものだから、「あー、ここがこうしてこうなって、今こういう気持ちなのね、めっちゃわかる、でもそのままだと傷つくだけだから、その人とは離れなさい」というようなアドバイスもしあえる。

ほんの小さなことにも、きちんと達成感が持てるように

ひととおり話を聞いてもらった後で、高架下のカフェレストランで、二人して、この性格本当にどうにかしたいね、という話になった。自分たちの力で、幸せに生きていくにはどうすればいいんだろう?

やっぱり自己肯定感をあげるのが大切だよね、というところで一致した。
でも、具体的にはどうすればいいんだろう?

スマホで調べると、「できなかったこと、持っていないものよりも、できたこと、今持っているものにフォーカスする」と良いらしいことが書かれていた。
これだ!と思った。
「できたことリスト」をつけよう!

やり方は、至ってシンプル。毎晩寝る前に、今日「できたこと」をリストにして、彼女にLINEで送る。返信は、スタンプだけでオッケー。相手のリストに関して感想があれば送ってもよし。
でも、コメントが義務になるとしんどくなるから、基本はスタンプのみ。

お互いのリストには、仕事でできたこともあれば、早くベッドに入れた、とか、お風呂にゆっくり浸かった、なんていうのも並ぶ。
散歩した、家族としゃべった、読書した。
私たちにとっては、こういう小さなことに対して、きちんと達成感を感じることが大事なのだ。

リストを書いて、読んでくれる人がいる。それが、「元気」への一歩

私たちの小さな「できたことリスト」は、もうすぐ一周年を迎える。果たして自己肯定感の助けになっているのかは定かではないけれど、この一年で、全部自分ひとりで抱え込む必要なんてないのだ、と気づくことができた。

今日の私の「できたことリスト」には、「・エッセイを書いた」が入るだろう。
彼女のことを書いたことも、話そうか?そう考えると、わくわくしてくる。
そんな人がいてくれること、それをありがたいと感じられること、それが、「元気」に近づく一歩なのかもしれない。