私は、人生で1番全力で遊んだ夏を経験した。私にとって、とてもエキサイティングで、友達と全力で遊んで、たくさん笑った熱い夏だった。あれほど楽しくて、充実した夏は未だに経験していない。今でも、8月の猛暑日になると、あの夏を思い出す。

バンクーバー行きの飛行機で、運命的と言える出会いをした

それは、カナダのバンクーバーで、3週間の短期留学を経験した、大学3年の夏休みだ。カナダでの短期留学は、その前年の夏休みに経験していたが、どうしても「バンクーバー」で生活してみたかった。
当時、バンクーバーは「世界一住みやすい街」と言われていた。深い理由はないが、とにかく行ってみたいと直感で思い、アルバイトで留学費をコツコツと貯めて、短期留学をスタートさせることができた。
短期留学は、旅行会社が販売しているパッケージツアーを利用した。
最初に旅行会社で短期留学を申し込んだ時、希望の日程は学生の夏休み期間の真っ只中ということもあって、既に満席だったのだ。なので、仕方なくキャンセル待ちで予約することにした。
そして、その数日後、キャンセルが出たため、運良くに希望の日程で正式に予約することができたのだ。後に、「これも運命だ」と思った。もし少しでも日程がズレていたら、最高の友達と出会えなかったのだから。

1人で海外に行くのは初めてだったので、不安はもちろんあったが、それよりも、憧れのバンクーバーでの生活への期待と楽しみの方が断然大きかった。期待と楽しみが、不安を消してしまうくらい大きかったのだ。
出発前の「どうしても行きたい」という直感が当たったのか、往路の飛行機で運命的と言える出会いをした。
往路の飛行機の中で、私が入国と税関の書類を書いている時に、通路を挟んで隣に座っている同世代の女性からの視線を感じた。私が、バンクーバーのガイドブックを見ながら書類を書いていたので、ガイドブックを貸して欲しいのかと思ったが、「貸しましょうか?」と自分から声をかける勇気がなかった。
しかし、飛行機から降りる時に、彼女が「短期留学で来ているんですか?」と声をかけてくれた。彼女も短期留学でバンクーバーを訪れていて、私と同じ大学生で、学年が1つ下と言うことが分かった。滞在する地域や学校は違ったが、同じバンクーバーで生活するということで意気投合し、連絡先を交換して、近いうちに再会する約束をして別れた。

彼女と彼女の友人と3人で遊び意気投合。留学生活の悩みも話せる仲に

数日後、彼女とバンクーバの市街地で再会することになった。その時に、彼女が同じ語学学校の女子を連れていくから3人で会おうと提案してきた。
正直、その時は3人で遊ぶ気になれなかった。なぜなら、以前、複数人のグループで遊んで嫌な思いをしたことがあったからだ。複数人で遊んで、自分だけ冷たくされたことがあったのだ。だから、仲良くなれなかったらどうしようという不安が大きかった。
しかし、そんな不安を全く感じさせないくらい、2人といるととにかく心地よかった。すぐに仲良くなることができ、バンクーバーでの3週間、ほぼ毎日3人で過ごした。
3人でとにかく色々な場所に行った。水族館、吊り橋、アスレチック、カフェ、ショッピングモール……本当に沢山遊んだ。放課後も休日も、ずっと2人と一緒だった。
遊ぶだけでなく、留学生活の悩みを話すこともあった。
ホームステイ先でホストファミリーと上手くいかなくて落ち込んでいた時、話を聞いてくれたのは2人だった。2人は、私の話を「えー!それは最悪!うちもこういうことがあってさ……」と明るい感じで聴いてくれたこともあって、そこまで思いつめることはなかったし、全てを笑い話に変えることができた。悩んでいるのは自分だけではないと思わせてくれた。

世界中を旅したいと思うようになったのは、2人と過ごす時間のおかげ

2人の明るさと優しさに、本当に救われた。そして、2人と過ごす時間が、私の気持ちを明るくしてくれた。
語り合ったのは、悩みだけではない。ひとりで短期留学に来ていた2人は、海外に行くこと大好きで、国際的な問題や文化にもとても関心があり、大学の友人達と普段しないような話題を語り合うこともよくあった。
2人と過ごしているうちに、「私ももっと広い世界を見てみたい」と思うようになり、視野がぐっと広がった気がした。私が、世界中を旅したいと思うようになったのは、2人との出会いがきっかけかもしれない。
そんな2人との1番の思い出は、「ビクトリア・ブッチャートガーデンへのバスツアー」だ。このバスツアーは、自分達で観光案内所に行って、予約したツアーだ。語学学校などを通さずに、自分達だけで予約をした弾丸ツアーだった。
このバスツアーで、日本では体験できないような体験を沢山することができた。日本語を話せる乗客や添乗員は誰もいなかったので、不便なこともあったけれど、不便を忘れるくらい楽しくて愉快な体験を沢山した。ビックリするようなハプニングもあったけれど、どんな状況でも笑い飛ばす2人のおかげで、とにかく楽しく過ごすことができた。

人生で1番「冒険した夏」、かけがえのない2人の友達に出会えた

そんな2人のおかげで、バンクーバーでの生活を、底抜けに明るく、ハッピーに過ごすことができた。本当に楽しくて、3週間という期間は本当にあっという間に過ぎていった。
実は、バンクーバーで出会った2人とは、到着日も日本への帰国日も、復路の飛行機も同じ便だったのだ。
ちなみに、「運命的」に出会った2人とは、今でも時々集まって、思い出話に花を咲かせている。バンクーバーへの短期留学は、「行きたい」という勢いだけで参加したけれど、行って本当に良かったと思っている。
短期留学で、語学留学の授業数もそれほど多くなかったので、「海外に行って語学が上達した」とは胸を張って言えない。だが、行動力や異国で生活する力を身につけることができた。そして、かけがえのない2人の大切な友達にも出会うことができた。
人生で1番「冒険した夏」だと思う。