何度も何度も何度も何度も、あなたとの縁を切ろうとしたの。
このままだと自分がダメになるって思って。あなたなしでも、生きていけるようにならなきゃいけないって思って。一人で生きていけないような、一人で立つことができないような、惨めな女にはなりたくなくて。

今後あなたに大切な人ができた時、その邪魔をしたくなくて。そうなる前に、あなたとの縁を切ってしまいたくて。あなたには、誰よりも幸せになってほしいから。
でもその幸せを目の前で見せられるのは辛いから。だからそうなる前に離れたくて。

そのためなら使えるものは全て使おうと思って、連絡先も何度も変えたし、SNSにも鍵をかけたし、神にも縋ってみた。都内に住んでいるのにわざわざ京都の縁切り神社まで行ったし、川崎大師でお祓いもしてもらった。
髪の毛も切ったし、服装の系統も変えたし、激痩せもしてみた。きっとできることは、全部やった。
でも結局あなたとの縁は切れなかった。気がついたらどちらからかまた連絡を取りあっていて、電話をして、会って、何やってるんだろうって自己嫌悪に陥って、こんなんじゃダメだから早く縁を切らなきゃと躍起になってを繰り返してしまっているんだ。

振られても、友達でもいいからそばにいたいほど、あなたが好きだった

あなたは、高校一年生の時にたまたま廊下で出会った人。三年間一度も同じクラスになったことも、部活動も委員会も違ったのに、なぜか話しやすくて、ずっと一緒にいたかった人。高校二年生の時、一人では受け止めきれないくらいに辛いことがあって、その時の不安定なわたしを支えてくれようとした唯一の人。
そんなことをしてくれたから、わたしはあなたのことが好きになってしまって、その気持ちを抑えることができなくて告白をしたけれど、あなたは嬉しいけどその気持ちには答えられないって言って、わたしを振った。
それでもわたしはあなたのことが好きだった。だから友達でもいいから、これからも仲良くしてってお願いをした。あなたはそのお願いを叶えてくれて、今まで通り何事もなかったかのように一緒にいてくれた。

大学に入って、あなたとは物理的な距離ができた。でも結局変わらず、時々電話したり会ったりする仲のままだったけれど、だんだんとわたしの中にあった、あなたへの好きという気持ちはなくなっていった。それでも、困った時に話を聞いてほしいって思う相手は、やっぱりあなたで。
なんでなんだろうね。頼りたくないのに、一人でちゃんと立ってあなたなしでも生きていけてるんだよって誇りたいのに。だけど、そもそもあなたにそのことを報告したいと思っている時点で、あなたのことを考えてしまっているんだよね。

あなたといると無敵になれる気がしていた。でも、もう限界なんだね

何も変わってないね。おかしいなぁ、本当に。もうあなたのことは好きでも何でもないし、あなたの恋人になりたいわけでもないのに。ただあなたを思うと安心するし、どうしてか無敵になれる気がしていたんだ。
でもきっとそれも、もう限界なんだね。わたしはあなたと連絡を取ることに、会うことに疲れてしまった。そのことに気がついてしまったんだ。
だって、今までのあなたはわたしのすることに、アドバイスをしてくれたり、時には呆れたりしていたけれど、真っ向からそれを否定したことはなかった。わたしの突拍子のない夢もなんだかんだ言いながらも、頑張れって応援してくれていたよね。

でもこの前の電話であなたは、端からそれを否定した。
「お前まだそんなこと言ってんの?」
「そんなことが本気でできると思ってんの?」
「いつまでそんな馬鹿みたいな夢見てんだよ、そろそろ現実見ろよ」と。
なんであなたにそんなことを言われなきゃいけないんだろう。わたしのやることを、やりたいことを否定しないで。だってあなたはわたしの家族でも恋人でも、ましてや友人でもないんだから。
そう、わたしとあなたはもう友人ですらない。そのことに気づいてしまったの。
だから今のわたしならきっとあなたから離れられるし、あなたのことを忘れられると思うんだ。

いつかこの別れは間違っていなかったと、心から笑って思えますように

でもね、少しだけ、本当に少しだけ思ったんだ。もしも違う世界があったなら、一緒に並んで歩いて行く未来もあったのかな、なんて。今更もしもの世界の話をしても、もうどうしようもないことなんだけどね。だって今のわたしが選ぶ道は、あなたと決別することだから。

今までわたしの人生を支えてくれてありがとう。
きっとあなたはわたしよりもずっと早く大人になってしまったんだね。わたしはまだ子どもで、本当は見なきゃいけない現実を見ようとしていないだけなのかもしれない。
でも、わたしは自分の人生に妥協は絶対にしたくないし、ハードルを下げたり、やりたくないことをすることはできない。好きなことをして生きていきたいし、自分の感性や感情を大切にしていきたい。
だからわたしの人生の核を否定する、あなたのことが嫌いです。

このまま今のあなたと一緒にいると、わたしは自分を見失って、無理矢理大人にされてしまう気がするの。そうじゃなくて、わたしは自分の意志で一歩ずつ大人になっていきたい。
だからあなたからもう離れるね。あなたに歩み寄るのもあなたに縋るのももう辞める。
そしていつかこの別れは間違っていなかったと、してよかったのだと心から笑ってそう思えますように。
本当に今までずっとずっとずっとありがとう。大好きでした。お元気で。さよなら。