結婚生活が5年も過ぎれば、さすがに付き合いたてのような恋のときめきはほぼ皆無で、時々それがさみしくて、「あー、恋したいな!」って思うこともある。
芸能人だって不倫するのだから、一般人の方が不倫しているのかも
恋って、楽しかったなぁ。
相手のことを好きになった瞬間から、世界がキラキラになって、胸もドキドキして、どんどん相手が素敵に見えて。鏡の中の自分もかわいくみえて。
当たり前だ。ホルモンが出ているんだから。肌もキレイになって、美容効果も抜群。いい事づくめだ。
あーあ、人妻だけど、また恋したい。
その反面、「芸能人が不倫をした」というニュースが流れてくると、「パートナーがいるのに、なんで新しい恋愛してるの?」って怒りが湧いてくる。そして、不安になる。
キレイで才能ある芸能人ですら浮気されてしまうのだ。自分なんていつ浮気されてもおかしくない。
むしろ、あれだけ芸能人の不倫が報道されているのだから、表に出てこないだけで一般人の方がよっぽど不倫をしているのかもしれない。そういえば「まさか、あの人が?」って人ほど隠れて浮気をしていたりして、よく驚かされる。
夫のことは信用している。でも人間、恋に落ちる時は、どうしたって落ちてしまうのだ。あとはその人の性格やタイミング次第で、相手にアプローチするのか、気持ちを胸に秘めておくのかが決まるのだろう。
今のところ夫に不倫の気配はないけれど、未来のことはわからない。誠実そうな人ほど、浮気が本気になるともよく聞くし……。
結婚したら自然と「恋」は卒業し、「愛」を育てる期間だと諦めていた
結婚が決まった頃、先輩夫婦たちからよく「そんなにラブラブな状態でいられるのは今だけだよ」なんて言われていた。
だから、結婚したら自然と「恋」は卒業するもので、ここから先は「愛」を育てる期間なのだと諦めていた。
もう恋人同士ではないのだ。家族になって、一緒に暮らして、子どもを育てて……。その中で、二人の間に愛が育てば一生夫婦でいられるし、育たなければいつか離婚するのかな。どちらの道でも寂しいけれど、夫婦になるってそういうものなんだろうな。
そんな風に思っていた。
そしてやっぱり、先輩たちの言う通り、月日が経つにつれ、昔のようなときめきはどんどん薄れてしまった。
確かに、その分、愛は育っていると思う。でも、それだけでは割り切れないモヤモヤとした気持ちがあるのも確かだ。
私にとって「愛」とは赦しのことで、たとえば、相手に対して「あなたが、あなたのままでいてくれたらそれで良いよ」と、無条件で言えるような、そんなイメージ。
そういう意味で、自分の子どもに対する気持ちは100%愛だけれど、夫に対しては100%って言い切れない。だって私、浮気されたら絶対、許せないから。愛しかなければ、もし裏切られてもスマートに許せるはずだ。でも、やっぱりきっと、許せない。
時には不安になり、執着もする。結局私はまだ、夫に恋をしている
結局、私はまだ、夫に恋をしているのだ。
キラキラとかドキドキだけじゃなくて、嫉妬とか、執着とか、プライドとか、不安とか、そういうものが入り混じった、苦くてドロドロした気持ち。
そういえば、恋って、こんな暗い側面もあったな。
もう卒業したつもりでいたから、すっかり忘れていた。
家事をして、育児をして、それなりに忙しい日々の中で、恋の辛い部分に翻弄されたくなかったから、「もう恋は卒業」って自分に言い聞かせてきたけれど、正直、何年経っても彼の帰りが遅いと不安になるし、スマホの中身が気になるし、できることならGPSをつけて居場所を常に監視していたい。
それくらい、彼のことが好き。恋はまだ、全然終わっていなかった。
「私のこと、今でも好き?」なんて怖くて聞けないから、いつも、黙って彼を抱きしめる。
彼は抱きしめ返してくれるけれど、実際、何を考えているのかはわからない。でも、それでいいと思っている。
恋人だった頃のように「好きだよ」とか「もう嫌い!」とか、その時々の気持ちを言葉にし続けていたら、今頃とっくに別れているだろう。
結婚って、素晴らしい制度だ。病める時も、健やかなる時も、死が二人を分かつまで、一緒にいると誓うこと。二人の間で変化していく、気持ちのグラデーションをゆっくりと楽しむこと。
ドキドキの次は、ドロドロになった。ドロドロの次は、どんな気持ちが生まれるのだろう?この恋の行方を、一生かけて見届けていきたい。