私には、いま同棲を考えているパートナーがいる。彼と同棲することを親に告げた時、親は「結婚前提」であることを条件としてきたので、いずれ、とは思っていたのでまあ別にしてもいいのではないかということで話を進めてきた。

一緒に住み始めたら、彼の大事な人生を私が背負うってことか

結婚とひとえに言っても今は色々なカタチがあって、男性がプロポーズしないことだって普通になりつつあるにも関わらず、どこか古風な結婚像にも憧れを抱いていた私は、できれば彼から「結婚したい」と言ってほしかった。
私の人生を背負う責任をちゃんと持っておくれよ、とまで思っていたくらいだ。

ただ、同棲する家がほぼ決まった夜、1人でお風呂から出た時に、ふと思った。
「あー、一緒に住み始めたら、これまで彼が、親や家族に大事にされてきた人生を、まるごと私が背負うことでもあるんだな」と。
彼のいつもいい匂いのする服は、私の大好きな香りでもあるが、彼のお母さんがマメに洗濯してくれているこの愛情を、私は守れるだろうか。そんなに私はマメに洗濯できないしな、なんて、「結婚」に対する新しい考えを私は手にして、立ち止まってしまった。

結婚は「相手に大事にされる」こと?「相手を大事にする」こと?

小さい子どものいる同じ会社の先輩が、「ジェンダーのこともあるから娘にはプリンセス以外のものを見せたいんだけど、やっぱりプリンセスにハマちゃっている」と嘆いていたが、私もどっぷりプリンセスに憧れていた女子だった。
男性と結婚して、大事にされて……。この「大事にされる」というのが大きな勘違いで、まあ大事にされることに越したことはないのだが、「大事にする」ことも必要になってくるのが結婚というものなのではないか。

「大事にする」精神がインプットされていなかった私は、そのことに思い当たった時、かなりの衝撃を受けた。
誰しも少なからず親や家族、友人たちがいて、大事にされてきた過去があるはず。その過去を、まるっと引き受けて、受け止めて、否定せず、変えるわけでもなく、その先を一緒に歩んでいくというのは、なんと責任重大なことだろうか。

「なんでいま、結婚したいの?」
そう彼に聞かれた時、祖母の体調が優れないことが1番に頭に浮かんだ。
祖母が元気なうちに、結婚の報告をしたい。他人ありきの私の考えに、彼は少しがっかりしていたが、今は彼の気持ちが理解できる。
こーーーんな大ごと、自分でしか覚悟は決められない。祖母には申し訳ないけど、もうちょっと待ってもらおう。

私を含め、問いかけたいことは「背負う責任、できてる?」ということ

「出産適齢期」が決まっている女性は、どうしても、子どもを産むならそろそろ結婚しないと……と出産から結婚を逆算し、20代後半~30代の結婚ラッシュに焦り、女子会テーマのトップ3には結婚が入るのではなかろうかくらいには、結婚について関心があるし、悩んでいる。
そんな女性たち(私自身含め)に向けていいたいのは、「背負う責任、できてる?」ということ。
私の人生の主人公は私だし、もちろん「私がどれだけ幸せになれるか」という自分軸での分析は最も重要だが、その次に、パートナーとなるひとにもそのひとのウン10年分の人生が詰まっていて、それを背負っていく覚悟が必要だと思うのだ。
ますます結婚が遠のきそうだが……でも、ふと立ち止まって気づいたこの発見を、共有したかったので。