別れが近づいてくるたびに後ろを振り返る私。いつになったら私は、私と胸を張って前を向けるだろうか。
クーラーの温度設定を低くしても寒いと感じさせない外の暑さと、外から聞こえるセミの大合唱。
今年も大好きな夏がやってきた。
夏よりも涼しい季節が好きだった私が夏が大好きになったのは、忘れもしない大学2年生の七夕。5対5のお食事会、いわゆる合コンで好きな人に出会ってその人と付き合あったのが、7月7日にちょうど日付が変わった時だった。
それから夏が大好きになった。
aikoの恋のスーパーボール、miwaのミラクルをエンドレスリピートしていた夏。
彼と別れた後も夏がやってくるたびに、今年はどんな出会いがあるだろうとわくわくした。
ご飯を食べ、散歩して、一緒に昼寝する土曜日は、学生の夏休みみたい
2021年今年の夏はまたもや緊急事態宣言。
何度延長するのだろうか。
もはや終わりが見えない新型コロナウイルスの再拡大。
世界がこんな時でも夏はやってくる。
7月最後の土曜日、彼とお昼ごはんを食べたあと、商店街にあるペットショップやカフェにに立ち寄りながら彼のおうちに帰った。
前日は彼の友達も来ていて、おうちでお酒を飲んでいたりおしゃべりしていて寝不足だったから、いっしょにお昼寝した。
なんだか久しぶりに学生の時の夏休みみたいな気持ちになった。
なんでだろう。こんな気持ちになるの。
不思議でたまらなかった。
来年の夏はきっとこんなふうにしている未来がないからだろうか。
わたしはいつも、新しいことが始まりそうなときに足を止める。
時間を止めたくてたまらなくなるし、むしろ時間を戻したいくらいだ。
クーラーが効いた部屋で、窓から少し外の熱気が漏れる日差しとセミの声は気持ちよかった。
お昼寝から目が覚めた私は一旦私の家に帰ることにした。
まだ寝ている彼の頭をポンポンしてドアを閉めた。
昨日の夜から夏休み気分が抜けない。
別に夏休みでもないのに。
駅まで向かう途中セミ取りをしている子供たち、家族、手を繋いでいるカップルを、横目にわたしは1人で駅にスタスタ足を運んだ。
いつも別れが近づいてくるたびに、ふとんに身体をうずめて現実逃避
来年の夏も同じでいたい、ここで別にここじゃなくてもいいから普通に働いて普通にデートする日常でありたい。
夢を追う彼と現状維持が目標なわたし。
悲しくて切なくて涙がこぼれそうになったけど我慢した。
いつも私は別れが近づいてくるたびに、ふとんに身体をうずめて現実逃避。もうこれ以上未来に行きたくない。
前に進める人がうらやましい。
自分に自信がないから、人の意見を聞きまくる私。決めなきゃいけない時がきたらどうせ自分の気持ちで決めるくせに、何処かで安心していたくて私と同意見を言ってくれそうな友達にアドバイスを求める。
ダメな私。
わたしの成長の時間はうるう年くらい遅い。
いつになったら自分に自信が持てて、自分で納得のできる人生を歩んでいると胸を張って言えるだろうか。
いつも恋人に自分の存在意義を委ねてしまうから、きっと別れが近づいてくるたびに時間が止まってしまう。
こんなわたしを作り出してしまった原因を、わたしはいつまで経っても小6から中1までのいじめられた過去のせいにし続けている。
きっと自分自身でいくらでも変われるのに。
わたしの恋も線香花火のように儚く、夏で終わってしまうのだろうか
でも、いつだって立ち上がるのは遅くても前に進んで来れたのだから、今回だって進んでいけるはずだ。
苦しくて悲しくて何も手につけたくなくなる日がきてもきっと立ち上がれるはずだ。
そう言い聞かせて、甘くて苦い時間を平気な顔して過ごしている。
そういえばこの前、彼といっしょに線香花火をした。
夏の夜風は、線香花火にとってはありがた迷惑だ。
いつまでもぼーと見つめていたい儚くて綺麗なひかりは、心地よい風にも耐えきれず、ポトッとすぐ落ちてしまうから。
幸せと心地よさは共存できないものか。
わたしの恋も線香花火のように儚く、今年の夏で終わってしまうのだろうか。
願わくば来年も再来年もパチパチとあつい光を放っていて欲しい。
恋が終わるたびに足が動かなくなって、後ろを振り返る弱いわたしだけど、今年中に1歩前に足を踏み出すことはできるだろうか。
きっとみんなも立ち止まっているはずと、また私は自分の中で作り上げたマジョリティーに仲間入りにして、今日も時間を止めたまま歩いていく。