私は、学歴や名誉よりも、自由を取った。自分という自由、やりたい事という自由、創造という自由。それは、今考えたら昔からずっと私が欲しかったものだ。
比べられないために必死だった子どもの頃。頑張る理由を探していた
子供の頃の私は空っぽだった。小中学生の頃は勉強が得意だった。良い点数をとって、クラスメイトに羨ましがられてとても気分が良かった。勉強することは、正直大嫌いだった。でも、続けることができていた。
私の双子である、ちゅんが勉強ができたことが大きかったのかも知れない。双子といえど、学校という枠に入ってしまえば、同じ学年の生徒同士。テストの点数で比べられたくなかった。だから、その頃の私は必死だった。
でもどこか自分の心の空っぽさが突っかかって、高校受験は失敗した。ただの自分の実力不足だけれど。
勉強するということの大切さは、重々承知していた。将来なにかやりたいことがあったときに道が開ける。そんなことは充分に理解していた。
けれど、どうしても「自分が頑張る理由」を見つけたかった。小中学生に、大人でも答えにくい理由なんて見つかるはずもなく、受験に失敗した私は私立の高校に入学した。
高校の進路相談。迷いなく告げた「芸術系大学」への進学に両親は…
高校生になった私は、自分が心から好きだと思えるものに出合った。それは、漫画というフィクションの世界。
小中学生時代は、友人と公園を駆けずり回っていた私は、漫画にあまり触れてこなかった。自分の前に現れた自由な世界。私の空っぽの心は、どんどん満たされていった。
そして、心が満たされた時には、私は高校3年生になっていた。
将来の進路を決める時期。誰もが悩み、自分という者と闘う時期。
そんな時期に、私は両親に
「芸術系の大学に行きたい」
と迷いなく告げた。
もちろん、学費だって他の学部や大学よりもかかるし、この先の将来を見据えた選択ではないかもしれない。でも、高校生になって知った自由な世界。自分もそれを創りたい。先の見えない自由な世界に飛び込みたかった。自分が頑張る理由が見つかった気がした。
すると、両親は快く私の選択を受け入れてくれた。父や母は、私の言葉に驚きもしなかった。
「やっぱりね」という感じ。
全てお見通しだったらしい。頭が上がらない。
でも、その代わりにある約束をした。
今でも続いている約束を。
両親とした「後悔しない未来を創る」約束は、人生の宝になった
現在は、自分の行きたかった芸術を学べる大学に通っている私。世間から見れば、「芸術なんか学んで何の役に立つの?」とか「もっと為になることを学びなよ」と思う人もいるかもしれない。でも、初めて自分自身で納得して選んだ道。誰にも文句は言わせない。
だからこそ、「後悔しない未来を創る」。これは、大学選択時に両親とした約束だ。
やりたかったことができる環境、同じ想いを持った仲間。私には勿体ないくらいだ。気になったことは全部試す。大学生になってからは、私の心は色んなワクワクで満ちている。
そんな私は、就活を本番に控えている。壁にぶつかることも多いし、周りの価値観に流されそうなときもある。でも、そんな風になりながら、もがく自分が好きだ。
就活のことを度々母に相談したりする私。でも、母は「大学選び後悔してる?」なんて私に聞かない。ただ「自分の納得いくように」とだけ言う。
私と両親との約束は、まだまだ終わらない。私が死ぬまでずっと続くと思う。なんてったって、大学選択は私にとってのターニングポイントであり、人生の宝だ。
私がずっと欲しかったもの。
自由。
私は、自分が選択した道を後悔しない。
するとしたら......正直思いつかない。