その人とは、私が大学1年生の頃に出会った。
私の出身大学では、入学してすぐの頃に「サークルフェスティバル」という、新入生向けのイベントが3日間かけて行われる。学内のサークルを見て回り、先輩と話をしながらサークル選びの参考にすることを目的に開催されていた。

私は、2日間は新しい友人と回る約束をしていたが、初日だけは一人で回ることにした。
種類も数も多く、初めはどこから見て回ったらいいか戸惑い、適当にぶらついていた。そんな中、高校時代から気になっていた学園祭の実行委員のサークルを見に行ってみることにした。

学園祭サークルのブースで出会った憧れの人は、理想的な女子大生だった

ブースに行くと、男女2~3人の先輩が受付役として待機していた。そして、そのうちの一人がまさしく私の憧れの人だ。
その女の先輩は、2歳年上で、当時ミスコン部門の代表をしていた。
彼女はとても美しく、可愛らしい笑顔で新入生の私を迎え入れてくれた。

ガーリーだけど少し色っぽい華やかなファッションに身を包み、短いタイトスカートからはすらっとした脚とドクターマーチンのブーツが見えた。
白い肌、ぱっちりとした目、鮮やかなリップカラー、艶のあるゆるい巻き髪……。
どこを見ても自分の理想的な女子大生だった。

彼女は今までに出会った中でもダントツで可愛く、誰よりもキラキラして見えた。
これが大学生か……と実感した瞬間だった。自分でも怖いくらいに彼女の虜になっていた。

交流会で言われた言葉を機に、憧れの人になるために始めた自分磨き

それから数日後に、近くの公園でお花見という名目で新入生と先輩の交流会が開かれた。憧れのその人も来ていた。
話しに行きたかったが、周りの先輩方と仲良く話している姿を見て、自分が踏み込んではいけない場所のように思えてきて諦めた。

代わりに同期や他の先輩と話をしていた。それなりに楽しく過ごせたし、友人も出来たため、改めてそこに入ることに決めた。
帰り道、ある先輩が言っていた、
「今、あの先輩みたいになりたい、とか目標になる人がいるとしたら、3年後には自然とそうなってるよ」
という言葉を思い出し、その言葉を鵜呑みにした。 

自分磨きを始めて気づいた。憧れの人は想像以上の努力をしていた

それから、ダイエットを始め、先輩が身に付けている服装やメイクを真似してみたり、女の子らしい仕草を取り入れてみたりした。
しかし、いつまでたっても近付けない。当時はただ元が違うからだと思っていたが、それは違うと今なら分かる。

十分スタイルが良いのに、ダイエットを続けていたこと。
疲れていても常に笑顔でいたこと。
どんなにサークルの活動が忙しくても授業を疎かにしなかったこと。
ミスコン部門の代表として気丈に振る舞いメンバーをまとめ上げていたこと。
それでも謙虚な姿勢でいたこと。

彼女は想像以上に色々な努力をしていたから、並みの努力では届かないくらい高いところにいたんだと思う。
手の届かない存在、自分にはなり得ない存在だったからこそ、私は先輩に憧れたのかもしれない。

いつの日か二人で出かけたい。その夢が叶う日まで、自分磨きを続ける

卒業後、先輩が何の仕事をしているかは分からないが、SNSの投稿は相変わらずおしゃれで、より大人っぽい姿を見せている。その美しさは今も更新され続けており、私はあの頃と同じように憧れ続けている。

未だに先輩のようにはなれていないが、SNSでダイレクトメッセージを送れるくらいには成長できた。
夢のまた夢かもしれないが、いつの日か二人で出掛けられたらと思う。その日まで自分磨きをし続けられるよう、頑張りたい。

彼女への憧れをそっと胸にしまい、
「いつかは私もこの人のように、唯一無二の美しさを手に入れよう」
そう決意した22歳、社会人1年目の秋。