当時中学生の私には憧れの友達がいました。自由な生き方、柔軟な考え方をしていて、見た目もかわいく、いつも私服はおしゃれでした。
私たちの住んでいる町はお店もほとんどないところですが、自然が豊かな町です。小学生の時は、近所の空き地や海で、アイデアを出して楽しく遊んでいました。
その頃は、洋服は母と一緒に選んで買っていました。そのために街に出掛けて買い物をしたりすることは、新鮮で、刺激的でした。

初めて友達と電車に乗り買い物へ。かわいいと手に取ったワンピース

中学生になったとき、出かけられる範囲が広がり、私たちは担任の先生から、一時間程離れた街まで出ていいよ という許可をもらいました。そのときはとてもワクワクしたのを覚えています。そして、友達と一緒に出掛ける計画を立てました。
初めて電車にのって田舎の町から都会の街へ、友達数人と買い物に出掛けました。今でも電車の中から見た景色は忘れられません。
道中、1000円ぐらいのプレゼント交換をしよう!という話になり、現地ではグループで別れて行動しようということになりました。その友達とは一番仲が良く、一緒にプレゼントを選びに行きました。
出掛けたショッピングモールは、今は全く雰囲気はちがいますが、その当時は、どんなお店も新鮮で興味を惹き付ける物が売られていました。
プレゼントを選びに雑貨屋さんにはいり、雰囲気はアメリカンな感じで、二人で変わったデザインの雑貨を見ながら楽しく選びました。
プレゼント選びが終わり、他のお店をみていた時に、ある服屋さんに立ち寄りました。そのお店は、大人っぽい、少し背伸びをした服が並んでいました。その友人と色々な服をみて回り、私たちはお互いにかわいいと思った色違いのワンピースを手に取りました。

自分で選び買った友人とお揃いのワンピースは、大人になった気分

私は黒と白襟でゴールドのボタンがついたワンピースを。友人は、グリーンと白襟でゴールドのボタンがついたワンピースを選びました。
私にとって、初めて自分のお小遣いで服を買う機会でした。ワンピースは4000円ぐらいでした。大人になった今、それぐらいの値段はあまり気になりませんが、その時の私には大金でした。
ですが、自分で選んで自分で買うということが魅力的で、大人のような気分になれると感じ、その服を買いました。

家に帰り、母に買った服をみてもらいました。あまりにも大人びた服を買ってきたので、少し驚いていました。それでも、この服を着たいと言い張った私だったので、母は、背丈が足りず修正が必要なところを縫ってくれました。
そして、その服を着て出掛けました。すこし、お姉さんになったような気分で、一日過ごしたのを覚えています。それから友人も何度かお揃いの服を着ていて、上手に着こなしていた姿をみて、すごいな~と思っていたのを覚えています。
私も、あんな風におしゃれになりたい!その気持ちが、友人と過ごす中で増えていきました。
友人から、「その服かわいいね!」「今日の格好一番好き!」と褒められると嬉しく、おしゃれをすることに目覚めた私は、憧れの友人の服をみて、勉強し、色々な服を買うことを楽しみました。

一度しか着なかった服。後悔も自信のなさも幼い思い出

実は、その思い出の服は一度しか着ていません。初めて買った服で、何も分からず買ったこともあり、当時の自分には似合わないと、どこかその服を着る自信もあまりありませんでした。自分自身の服の好みも変わったりしたのもあったので、ずっと衣装ケースにしまっていました。
毎年、衣替えの時にその服をみては、「着るかな~?着ないかな~?」と悩んでは、着ないなと衣装ケースから出しませんでした。そして、高校生の時に捨ててしまいました。

中学生の時から約15年が経ち、ほとんどその服の存在を忘れていました。ですが、この機会にふと思いだし、当時のドキドキしながら選んでお金を支払った事を思い出しました。そして、すこし後悔した気持ちもあったことも思い出しました、
ですが、その服は一度しか着られなかった服だけど、大人っぽい格好や、すこし背伸びをして高い服を買ってみたい そんな気持ちが湧いた一着でした。
それが当時の私には色んな気持ちが混ざった思い出の詰まった一着だとしても、今となっては、その時の背伸びをして大人になろうとしていた私自身の気持ちを思い出させてくれます。