就活をし始めると、一般企業に就職し、ましてやそれが皆がよく知る大手の企業ならば、人生の成功者であるかのように祝福される。
反面、夢を追いかけフリーターになった者や、職人を目指しニッチな世界に飛び込んだ者。
つまり、就活という大波に飲まれなかったものは、
「なんで?どうして?」
と、理由を問いただされ、さぞかし物珍しいものを見るかのように周囲から注目を受ける。

就職して3年、その後の空白の2年を過ごして知ったこと

大学4年、みんながあれやこれや仕事選びをする中、カフェで働く。
それはわたし自身揺るぎないゴールだった。
当時働いていた店での内部昇格を目指したが、一次面接後に届いたのはお祈りメール。
悲しいやら悔しいやらで、就活を諦めフリーターとして留まろうと思ったが、
「一度は社会人経験をした方がいい」
そんな、周囲の説得もあり違う会社への就職を決めた。

新しい仕事はそれなりに楽しく、あっという間に3年間が過ぎた。
とあるきっかけで仕事を離れ、空白の2年間を過ごした。

そこで今までしたことのない仕事や、やってみたかった仕事を経験した。
更にたくさんの出会いの中で自身で事業を運営する人やアーティストなど、様々な職業の人たちと出会い、働き方が週に5日、8時間働く選択肢だけではないことを知った。

新しい生活がスタート。半年ほどしたころ、社員登用への話が上がった

時は経ち、新しい土地での生活をスタートさせた。
仕事は大学生時代にお世話になった会社でのアルバイトを選んだ。
そこでの生活はやはりとても楽しいもので、日々充実していた。
天職とはこのことだと改めて思った。

もともとの真面目な性格も相まって、働き始めて半年ほどしたころ、社員登用への話が上がった。
思いの外簡単に開けた社員への道を前に、正直少し残念な気持ちになった。
あれだけ欲しかったものは、こんなにも簡単に手に入るものなのか。
そうであるならば、違う会社で社員をせず、そのままアルバイトとして働いておけばよかった。
そんな思いがどうしても消えなかった。

大学生の頃の私は、大学を卒業すれば正社員で働くものと思っていたし、周囲の話からもそれが進むべき道だと思った。
もはやそれ以外の選択肢がなかった。

ところが、そこからの5年の生活で正社員で働くことが全てではない事を知ったし、自分の人生なのだから、やりたいことをやりたい場所でするべきだという結論に辿り着いた。

正社員としての3年間。土台作りとしては良かっただろうけど

確かに、正社員として働いた3年間は、社会人としてのマナーやルールを学ぶことができ、土台作りとしては良かったのかもしれない。
けれど、もしそのままアルバイトとしての道を進み、半年後に正社員雇用を受けたのならば、そこでマナーやルールは学べていたはずだ。

そして5年越しの就活が成功しようとしている今、私には別の夢がある。
世界が落ち着き次第、海外で働きたい。
だから今回の仕事を選ぶにあたって、正社員としての中途採用ではなく、アルバイトとしての道を選んだし、アルバイトとして時間の融通が効く分、毎日決まった時間を勉強にあてている。

あの時の私に言うなれば、そして、なんらかの形で仕事に迷う人がいれば伝えたい。
「やりたいことを仕事にするべきだ」と。
それがどんな働き方で、どんな目で見られたって、その時やりたいことをやりたい場所でやるべきだ。
自分が「今、そこで」やりたい仕事なのだから。
時が経てば人は変わっていく。
それに伴ってやりたいことも変わるだろう。
その時はまた、その時にやりたいことをやりたい場所でやればいいと思う。