私はほんの1年前まで、ぽっちゃり体型の万年ダイエッターだった。
振り返ると人生で一度も“細身”な時期がなく、物心ついたときから度々自己流のダイエットにトライしては、1mmも結果が出ないことの繰り返し。
心の中ではずっと痩せたいと思っていたし、鏡や写真をまともに見られないくらい自分の体型が嫌いだった。
でもなにを試しても思うような結果が出ず、そんな自分がまた嫌いになる。
痩せたいのに痩せられない。そんな自分がずっとイヤだった。

痩せて堂々と彼に会いたい!ダイエットの神が降りてきた瞬間だった

そんな私に突然転機が訪れた。昨年のGW、自粛期間中のこと。
暇つぶしに見ていたYouTube動画で、“彼”に出会った。
某アイドルグループのチャンネルにハマり、推しを見つけたのだ。
彼のことをもっと知りたくてググったとき、自分より4歳も年下なことを知った。
「4つも下なのーーー!?ショック!」なのが正直な感想だった。
20代中盤にして年下の芸能人に興味を持つのは人生初で、罪悪感の様な気持ちに戸惑った。

だけど“好き”な気持ちには抗えず、いつの間にかすっかりファンになり、コロナ禍で先が見えない中、推しに会いに行ける日を心待ちにするようになった。
そこでハッとする。
彼自身が4つ下ということは、コンサートに行ったときのファン層も自分より若いのだろうか……。

「私、こんな体型のまま彼に会いに行っていいのかな」
「こんな人が彼のファンなんだ、って他の人に笑われないかな」
今までの人生、太っているのが原因で言われた心ない言葉や態度、サイズがなくて諦めた服のことが、走馬灯のように思い起こされる。
「わたし、痩せたい。痩せて可愛くなって、堂々と彼に会いに行きたい!」
そんな思いが沸々と湧いてきた。
いわゆる“ダイエットの神”が降りてきたのである。

推しに会うために努力すると決めた3ヶ月。自己流よりも感じられる結果

自分でも驚くくらい、そこからは早かった。
家と会社の中間地点にあるパーソナルジムを見学に行き、その場で契約した。
万年ダイエッターである私は、ずっと「いつか、本気を出せば痩せられる」と思っていた。
だけど、これまでのダイエット人生を振り返り プロの力を借りなければ結果は出ないと悟った。

もちろんお金はかかる。それが今まで人の手を借りてこなかった一番の理由でもあった。
だけど、そのお金を払って正しく努力すれば 数カ月後には痩せた自分に会える。
きっと、堂々と推しに会いに行ける。

そこから契約した約3か月、週2回のトレーニングに加え、徹底的に食事管理された生活が続いた。運動嫌いな私には、正直しんどかった。
けれど、自己流でしていたダイエットとは比べ物にならないくらい体型や体重に変化が出てくれて、なんとか頑張ることができた。
契約期間が終わりジム通いをやめた後も、家での運動や食事管理を継続して、体型をキープできる力も身についていた。

不安な気持ちのまま入る試着室。ファスナーが閉まった時に感じた喜び

ダイエットを開始して4カ月後……私は約15キロのダイエットに成功していた。
手持ちの服はどんどんゆるくなり、周りからも体型の変化を褒められるようになった。
ほどなくして、待ちわびた推しのコンサート開催が決定。
無事チケットを手に入れた私は、当日着ていく服を探した。

インスタで彼のメンバーカラーのかわいらしいワンピースを見つけ、お店に見に行った。
実物で見るそのワンピースは、写真で見るより遥かに細身に見えて怖気づいた。
「とてもかわいいけど、本当に入るだろうか……」
まだ太っている時のサイズ感覚が抜けない私は、不安な気持ちのまま試着室に入った。

1年前の自分なら、確実に着られなかったであろう服。
そのファスナーが閉まった時、涙が出るほど嬉しかった。
あまりに嬉しくて、鏡の前で何度も回った。
こんなに可愛い服をサイズで諦めずに着られることも、その服を着て大好きな人に会いに行けることも、1年前の自分は想像していなかったから。

コンサート当日。いつもより丁寧にメイクをして髪を巻いて、あのワンピースを着た。
会場までの道のり、今までだったら目の端に映るのも嫌だった建物の窓やショーウィンドウに映る自分を見て、心の中で初めて言うことができた。
「なんか今日、とってもいい感じだよ」