アイドルが好きだ。
私は小さい時からずっとアイドルを追いかけてきた。
キラキラした衣装とセットの中で歌い踊るアイドルは、笑顔で輝いて別世界のようで、アイドルを見ている間は生活の全てを忘れさせてくれる、私の生きる希望だった。
アニメが好きだ。
私が絶対に使えない魔法が使えたり、自分には有り得なかった人生を見せてくれる。
そうして登場人物達と同じ思いをトレースしているうちに、自分の人生が充実して輝いているような気持ちになれた。
友人達が好きだ。
みんなそれぞれ自分の主張をしっかり持っている。
私には考えられないような行動を取ったり、知らなかった趣味を教えてくれたり、どんどん私の世界を広げてくれる。
彼女達の存在は、私をどんどん大きくしてくれるように思う。
私はたくさんの好きなものと好きな人、好きな場所に囲まれて生きている。
それは、これからも変わらないことだ。
人の美点を見つけるスキルは育ち、それを持たない自分が嫌いになる
私は小さい時から自他ともに認める、好奇心旺盛で、なんでも楽しい方向に、好きな物の方向に向かっていきたがる性格だ。
穴があったら指を入れるし、獣道が突然現れればそこに向かって一直線にかけていく。
よく母からは「危機管理能力ゼロ!」と怒られていた。
そうして好きになったものをずっと追いかけていたら、人のいいところ、好きなところ、真似したいところばかり目につくようになり、人の美点をうらやましく思った。
今思うとあの頃から、私はあまり自分が好きではなくなっていた。
人のいいところを見つけるスキルはどんどん育ち、あの人の笑顔が、どの人のスタイルが、あの人の生き方が、その人の考え方が、と思っているうちに、それらを持っていない自分がどうしようもない人間に思ってしまう。
どこかで軌道修正出来ればよかったのだが、私は自分がどうしようもない人間だと思ったまま大人になってしまった。
みんな「あなたにだっていいところはある」と言うけれど、他人のいいところの前では霞んでしまい、人に言う程のことではないと思ってしまう。
この染み付いてしまった考え方を一朝一夕で変えるのは不可能に近い
だから、プロフィール帳や前略プロフなんかの「自分の好きなところ」なんて質問には答えられなかったし、「こんなところがすごいよね!」というお褒めの言葉をいただいても素直に受け取れないし、しまいには仕事の時に「評価シートには今期できたこと、できなかったことの両方を書くように」なんていう客観性を求められることすら、書けなくなっていた。
このままではいいと思っていない。
ただ、この染み付いてしまった考え方を一朝一夕で変えるのは不可能に近い。
でも、自分は前向きな性格だと思う。
辛いこともその先の楽しいことを考えながらできるし、素直に楽しいことを喜ぶこともできる。
ネガティブだからこうなってしまった訳ではないのだ。
私も自分の好きなところを胸を張って自慢できるようになりたい。
私の周りに、たくさんの素敵な人やものがあふれていることが自慢
こんな私でも、現時点で自慢できることがある。
私の周りに、たくさんの素敵な人、素敵なものがあふれていることだ。
不景気だとか、災害だとか、コロナだとか、ネガティブなニュースにあふれる世の中で、私の周りではそれに立ち向かいがんばる人や、違う角度からいろいろな人を元気づける人、元気になれるものを作る人がたくさんいる。
そういう人たちと共に過ごせることはとても幸せだし、私もそういう人たちに幸せを返せるようにがんばりたいと思える。
素敵なもの、素敵な人をきちんと判断できて、ずっとそのそばにいることも、私の自慢出来るところになるのかな、といま思った。
私はこれから、こういうちいさな幸せを積み重ね、自慢できる私を作り上げていく。