私は地方公立Fランク大学に所属する、22歳女だ。
冒頭から、自分の大学を貶してしまっているが、公立大学のくせに2次試験が存在せず、センター高得点教科数科目で合否が決まってしまうのだから、一般的に頭がいいとは言えない。
まあ、大学のことは、一旦置いておいて。

Fランク大学に所属する私は今、就活をしている。現在10月初旬。ちなみに私は4年生。
普通に考えたら、この時期にまで就活をしている4年生は珍しい。余程話すのが下手、とか、何らかの事情で方針転換した、とか、納得内定がない、など皆そのような背景を勝手に想像するだろう。
私の現状に関しては、そんなものはなく、ただ内定がないだけだ。

書類審査は順調。しかしGWには10社が全部消えてしまった

正直私は、新卒切符を使えて都会に住めて、「完全週休二日制年間休日120日土日祝休み」、であれば、どこでもいいし何でも良かった。しかし、いま上げた「漢字途中数字」の条件での「何でも」なのだから、実際何でも良い訳ではなかった。

そうは言ってもまだ、私が就活を始めた、所謂解禁日と言われる3月頃は、そのような条件に合う会社も募集が沢山あったし、おかげで3月~4月のスケジュールは真っ黒だった。
オンライン化が進んだことも相まって、一日に何社も説明会や面接を受けた。初めから数えてなんていられなかったが、現在まで多分70社は受けただろう。

しかし、この有様だ。

書類も色々な人に添削を頼み、まあまあ質の良い履歴書を出せていたと思う。SPIは……しくったのもたまにある。しかし、これほぼ満点だろ、というやつで落とされたものもある。あのカード会社、絶対将来契約しないからな。
そんなこんなで、別に書類審査に関しては、悪いとは思っていない、多分普通の人と変わらない状況だったと思う。実際、3月は毎日書類を出していたので多分30社は受けただろう、その中で10社程面接まで進んだ。
まあ妥当だろう。当初の自分もこれは想定内で、この10社から決めればいいや、と思っていた。
しかし、ここから想定外。一次面接の結果が届き始めたGWには10社全て消えてしまった。

冒頭ちらと触れたが、私は話すのが不得意な訳ではなかった。むしろ、周囲から太鼓判を押されるくらい話すのが得意だ。友達も多く、後輩にも慕われている。また、このようなエッセイを書こう!と思うくらいには、考えていることを言語化するのも得意だ。
だから、どうしてあんなに面接が落ちるのか分からなかった。和気藹々と良い雰囲気で話せてたのになんで?

話すのは得意だったけど、「時短や育休を利用する」は望まれてなかった

今頃になって分かったことだが、私は、話すのが得意なだけで、面接は得意ではなかった。
「話す」ということは、場の空気を読んで、和やかにお喋りをする、ということが出来れば大抵その場は成立する。しかし「面接」は違う。
私は、企業が求める人材になりきれていなかったのだ。

例えば就活定番質問のキャリアプラン。正直意味わかんないよな、って思うが。
だってまだ入社してもいないのに想像で入社してからの人生考えろとか何?就活生に小説家の才能ないといけないわけ?と思いながら答えていた私のキャリアプランは「時短や育休を利用しながら長く働く」。
だって子供好きだし。子育てしたいし。でも共働きが当たり前の世の中だからこれがテンプレでしょ、と思ってた。
しかし、友達に言われた。
「いやそれはダメやって(笑)」
「結婚妊娠したらすぐ辞めるって思われるよ(笑)」

いやいや、だから時短や育休使いながら働きたいて言うとるやんけ!なんでそんな嘘発見器みたいな利用の仕方するの?!と思ったけど、まあ確かに休み多い人間より馬車馬となってバリキャリになる人間が欲しいよね。まあそうだよね。
結局企業は企業の犬になる人間が欲しいもんね。そのための新卒ポテンシャル採用!だもんね。うんうん。ため息しか出ない。

噓はつきたくないのに。企業にこびる努力に心は静かに殺されていく

こうやって私たち就活生は、疑い深い重いメンヘラ企業様(笑)のために極力こちらの欲求ハードルを下げ、企業様を持て囃し、都合のいい人間ですよアピールをしていかねばならぬのである。
このような事たちに気づき、企業に媚びようと努力し始めていく度に、私の心は静かに殺されていった。
私は、嘘をついたり、曲がったことをするのが嫌いだ。だから、企業側にも、ありのままの自分を見てほしい、その上で評価して欲しいと思い、面接をしていた。
しかし、そのため内定が出ないのである。内定を貰うためには、このやり方を変えるしかない。矛盾だし、葛藤だった。

ありのままの私を評価してくれる会社に行きたい。でも、そんな会社と今のところ出会っていない。結局私たちは、就活というシステムを通じて、企業の犬になるための試験をさせられているだけなのだ。

私は、企業の犬になるために生まれてきたわけでも、一浪したわけでもない。大学生でしかできない経験がしたくて、関われない人たちと関わって自分の人生の糧にしたくて、あわよくば好きなことを共にできる仲間を見つけたくて、大学に入った。
あらかた、良くも悪くも色々な経験ができたと思う。友達も年齢学年問わずかなり多い。その点は満足している。

選ぶしかない妥協。将来のための犠牲。できることはこうして訴えるだけ

しかし、やりたいことを一生かけてやり遂げられる仲間を見つけられなかった私は、仕方なく就職の道を選んだ。もうこの時点で私にとっては失敗で、妥協で、絶望だ。

その中でどうにか「一般人」になるためにこの半年、色々なことを犠牲にしてまで努力してきた。
なりたくないもののために。将来健康的に生命をつなぐために。
でも結局、心を殺しながら就活をしていた私は、精神的に不健康になってしまった。
なんだかこれ、矛盾しているような……。

どこかの会社の人事部で雇われたわけでもない私には、今の就活を変えることはできない。
せいぜい、こういう就活生の叫びが投稿できるサイトで、現状の改善を訴えるしかない。
早々に心を殺して、企業の犬になれる素質があると見抜かれた仲間は、これからもその道を歩むのだろう。
私は、そんな仲間とこれからどうやって残りの大学生活を過ごせばよいのだろう。