何故だろうね、私は君の恋人じゃない。
その理由は私が一番分かってる。これは見返りのない愛。私が与えたいから与えるの。
もし言葉にしてしまったら、行動してしまえば、見返りを求めてしまいそうだから。
けど、違うの。私、分かったの。
どんな形でも良い、貴方の傍にいられればそれで良いって。それが私の幸せだって。これは気づいてはいけない想い。
気づけば目で追ってた。だから、君とあの子の関係もすぐ気づいたよ
気づけば目で追ってた。いつも君が何をしてるのか気になって。
友達はいっぱいいるくせに、何故かコミュ障で、写真嫌いで、本当は人見知りな君。馬鹿が付くほど真面目で、努力家だよね。
掃除の時、文化祭準備の時、人前に出る訳じゃないけど、いつも最後までやり遂げる姿を私はちゃんと見てたよ。
けど、私と出会った時にはもう君の隣にはとっても美人なあの子が隣にいて、本能的に悟ったんだ。「あぁ、あの子には敵わない」って。けど、それ以上に気づいてしまった。あの子の話をする君の目に。
だから、私決めたの。彼女じゃなくて良い。ただ君が幸せでいてくれればそれで良い。だから、結婚式くらいには呼んでねって。
けど高校最後の年、何の悪戯か、私達は隣同士の席になった。2人で色んな話をしたよね。
授業中、お互いの机に落書きしあったり、持ってくるのを忘れた教科書を見せるために机をくっつけ合ったよね。
気づいてた?実はわざと教科書を忘れたこともあったの。ごめんね。
私、覚えてるよ。あんまり映画に興味ない君が唯一楽しそうに話してたあの映画。きっと 楽しかったのはその映画じゃなくて、あの子と行った映画だったからなんだろうなって。直感的にそう思った。こんな時だけ冴えてしまう自分の勘の鋭さを恨んだよ。
見透かされてることにも気づかず話し続ける鈍感な君。君のそんな所が好きで嫌いだった。
良い思い出だと君に笑って話せる日が来たら。それまではさよならだね
しんどかった受験期、君がいたから私は頑張れたの。
私にとって、しんどい時、辛い時、1番に思い浮かぶのはいつも君だった。
けど、知ってた。君がしんどい時に思い浮かぶのはきっと私じゃないって。だから、君と過ごすふとした瞬間、心の中で何度もこう叫んだ。「あぁやめて。私のスイッチを押さないで」って。きっともう元には戻れなくなるから。
綺麗な感情ばかりじゃなかったよ。どうして、なんで、私が少しでも先に出会っていれば。私が君の隣にいる未来もあったんじゃないかって何度もそう思った。あの子さえいなければ、そんな汚い感情さえ自分の中で渦巻いた。
けど、そんなことをいくら考えても仕方なかった。あの時、私に見えているものが全てだった。あの子を愛おしそうに見る君の目が全て。好きだった誰よりも。大切だった何よりも。君さえいれば何も要らないなんて、使い古された言葉さえ浮かんでしまう程に。
いつか色んなことがあった先に、これで良かったって思える日が来るって私は信じる。だって自分の気持ち以上に大切にしたい人に出会えたんだから。
だから、大丈夫。私は大丈夫。
幸せになってね。私に、こんなにも人を愛おしいって思う気持ちを教えてくれてありがとう。
いつか全てが良い思い出だったって君に笑って話せる日が来たら。それまではさよならだね。
だからさ、今日だけは一緒に写真撮ろうよ。