社会人になって数年経ち、これまでの人生の中で誰にも言えなかった気持ちを、手紙を通して「あなた」へ吐き出そうと思います。

母にも内緒にしたあなたとの出会い。いつしか異性として好きに…

小学4年生。
4年生も肌寒さを感じてきた季節、とある掲示板で私は「あなた」と出会いましたね。
ペンネームは「ヒカル」君。
顔も知らないあなたは私と同い年でした。

勉強に勤しみ、友達と遊ぶ。けれど私は、当時から家でパソコンを使ってインターネット検索したり音楽を聞いたりゲームをしたり、いわば圧倒的なインドア派として日常を過ごしていたけど、当時はまだインターネットを通じての交流なんて有名になることもなければ、今みたいにテレビで話題に取り上げられるようなほど良い印象は持たれていませんでした。

だから私は、何でも話せる母親にでさえ内緒にしながら、こっそり秘密基地を持っている子供のような感覚でヒカル君と掲示板で話せた時間が本当に楽しくて、話しているうちに友達としての好きから、異性としての好きに変わっていってしまいました。

けれど当時は会いたいとか顔が見たいとか、そういう気持ちはありませんでした。
なぜならこれはインターネットを通じての会話である上に、私達は小学生。どうあがいても気軽に会えるような年齢ではなかったから。

そう頭でしっかりと理解していても、一日、一日と時間を過ごすうちに私はヒカル君と言葉を交わす時間がたまらなく待ち遠しくなってしまったのです。
毎日、些細なことを一言二言話して眠りにつく。たったそれだけでも私にとっては本当に幸せな時間だった。あなたを想う気持ちが、膨らんでいったのは自分でもよくわかりました。

15年以上経った今でも、あなたを思い出す度、胸が締め付けられる

そうして過ぎ去ったある日。
あなたは私に「もう話すことはできない、ここには来れない」と言いました。
今まで生きてきた中で、私が「鈍器で頭を殴られる」という感覚に陥ったのは後にも先にもあの瞬間だけです。

つらつらとなるべく文章で文章を紡ごうと思ったけれど、それでは余計に複雑な思いが募るだけなので、これだけは言わせてください。

私が人生で心から純粋に人を好きになったのはあなただけでした。
どうして話せないの、なんでここに来てくれないの。どうして理由を言ってくれないの。

15年以上経った今でも、ヒカル君のことを思い出す度、胸がきゅっと締め付けられるような感覚に陥ります。
さすがに今はもう時が癒してくれたおかげで、好きという感情は昇華されていったけれど、それでも私は今でも脳裏にあなたを思い浮かべるだけで、どうしようもなく心が掻き乱されるのを感じてしまいます。そして毎年一回、当時見ていた掲示板をインターネットで検索してしまうのです。

もうとっくになくなった掲示板なのに、二度と会えることなんてないのに、それでもヒカル君という存在は、私の人生の中の中央で留まるには十分すぎる存在でした。

記憶に一生残り続けるあなたへ伝えたい。私からの想いを今ここで

今でも時々、ふとあなたのことを思い出します。
何をしているのかな、もしかしたら年齢すら嘘かもしれない。そもそも彼は私をただの友達としか思っていないはずだ。
あれこれと理由をつけてみても、最後にまとまるのはヒカル君への想いです。

恋愛感情はなくなっても、記憶としてはこの先一生、私の人生から消えることはないでしょう。絡みついて、離れてくれないのでしょう。
ヒカル君は私のことなど忘れてしまっているに決まっている。それでも私は、きっと忘れることはできない。
だからせめて、私はあなたに伝えたい。

出会ってくれてありがとう。
私とお話してくれてありがとう。
本気で大好きだった。

さようなら、二度と会えないあなたへ。