「不整脈」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろう。
中学の頃から高校、専門と、健康診断の心電図検査に引っかかりつづけた。
検査結果が返ってきて、心電図検査の備考欄に書いてあるのは大体決まって「要検査」「要精密検査」。
どうしても気になって、知り合いから大きな病院を紹介してもらい、自分で予約を入れた。

その予約日の朝。
母親になんとなく病院に行くことを伝えた。
「私はあなたを健康に産んであげたんだから、そんなことあるはずないじゃない」
そんな否定しなくてもいいじゃん……とは母親に対して言えなかった。
行ってきますと言い残し、家を出た。
いつもの慣れた電車も、この日は緊張した。
受付を済ませて血液検査、エコー検査、運動検査、24時間心電図の検査を受けた。
検査結果を聞きに行った日の夜、仕事から帰ってきた母親に、何もなかったことを伝えた。
「ほらね、言ったでしょ」

私が生きていることを否定するのも、私の夢を否定するのも構わない。
だけど母親として不整脈を持ってることだけは、せめて認めて欲しいと思う。
今でも心臓が痛くなる原因は分かっていないが、今日も生きていることを確かめるように
私は空を見上げる。