好きなアーティストの情報収集をするために始めたSNS
最近、SNSがしんどいと感じるようになった。SNSの何が私をしんどくさせているのか。
通知の数、「いいね」の数、投稿の内容……挙げるとキリがないが、初めてSNSを使った時のワクワクと不安が良い意味でごちゃ混ぜになっている気持ちが思い出せなくなっているのだ。
私がSNSを始めたのは、高校二年生の頃。それまでSNSはなんとなく怖いイメージがあった。不特定多数の人と容易に繋がれるからだ。
だが、私は好きなアーティストの情報収集を目当てにSNSのアカウントを開設した。初めはこれといった中身のある投稿は少なめで、同じアーティストのファンから情報を提供される事が殆どだった。
界隈で有名になった私だが、ある日、私より影響力のある人が出現して
しかし、ファンイベントに初めて参加した事をきっかけに様々な人と出会った高校生最後の年を境に、私のアカウントのフォロワー数は二桁弱から三桁強にまで上がってしまった。ファン界隈で私の事を知らない人はいないとも言われた。行く先々で色々な人に声をかけられて、今思えば有頂天になっていたと思う。
だが、大学生になり、コロナ禍が酷くなるとイベントもめっきり減り、更に「自分よりも凄い人」が目の前に沢山現れた事で、私は誰からも注目されなくなってしまった。
「自分よりも凄い人」は私に持っていないものを沢山持っていて、その人がSNSで何かをする度に様々な人が注目をする。
勿論、彼らと私ではSNSの影響力、フォロワー数共に天と地程の差がある。悔しいと感じる事も何度かあった。ほんの少し前までは、私がその位置にいたのに、と。何をしても何も起きなくなった私はもう「オワコン」なのかと思い始めた。
このままSNSを続けていたら、確実に病む。そんな時に、とあるSNSで音声会議機能のサービスが始まった。
数字や影響力ばかりに囚われずに、もっと人のことを大切にしたい
私は音声会議を通じて、今まで声を聞いた事もないフォロワーさん達と会話をした。その中には、実際に会った事がある人もいた。
SNSの中では嫉妬しているのに、実際に会ってみるとそんな気持ちは吹き飛ぶ。会話でも同じ事が起きた。
「どれだけフォロワーがいると思ってるんですか?あなたはまだ有名人なんですよ、皆最近心配していますよ」
ある人にそう言われた瞬間、私は今までSNSの表面的な部分ばかり気にしている事に気が付いた。
そうだ、私のフォロワーさんの中には会った事も話した事もないけれど、それでも気にかけてくれる人がいるんだ。数字や影響力ばかりに囚われないで、もっと人の事を大切にしなくては。それから私は、頻繁にSNSをやらなくなった。
SNSの更新を控えめにした事で、余計な事を考えずに済むようになった。
未だに知り合いが楽しそうな投稿をしているとモヤモヤしてしまうけれど、人は人、自分は自分。SNSはポジティブな事もネガティブな事も何でも受け入れてくれる場所だから、上手く使いこなすには時間がかかりそうだけれど、どんな時も自分のペースで向き合っていくつもりだ。