父が突然いなくなってから、数日後。
お母さんは「お父さんの夢って、みることある?」と私と弟に聞いたね。
私は咄嗟に「みてない」って言ってしまった。その日の夢に、実はお父さんが出ていたから、そんな質問をされたのがなんだか怖くて。
弟は「今日みたよ」と言った。そしたらお母さんも、「私も今日みたんだ。それで聞いてみたんだ」と。
ぞっとした。
まるで父が私たちにお別れを言いに来たみたいで、そんなことはないと思いつつも、「みてない」と言った自分が正しい気がした。
父がいなくなってから10年以上経つ。彼がいなくなってから東日本大震災もあったし、そもそも10年という月日は人が死ぬのに十分だと思う。
だから、強く、強く言いたい。
お父さんはどこで生きていますか?と。
ある日ふらりと家に来て、「ただいま」って言ってくれる日を待っています。
早く「おかえりなさい」と言わせてください。
堂々と、帰ってきてください。あなたは私たち家族の『お父さん』なのだから。