『女の一人旅』
そう聞いてどんなイメージをするのだろうか。「寂しくないの?」とか、「大人数の方が楽しくない?」とか、はたまた「一人旅って楽しいの?」などと失礼なことを聞かれてしまうのが常である。
幾度となくこれらの質問をされた私は、一蹴するように「楽しいけど?」と言ってしまう。それでも理解されないのは仕方がないのかもしれない。
家にいる事が多くなった現在でも聞かれる事は変わりないので、きっとこれからも同じ事を聞かれるのだろうと常々思うのだ。
高校三年生で初めて一人で県外に行き、一人旅の沼にハマった
そんな私が旅に魅了され始めたのは高校三年生の春休み。静岡にいる友達に一人で会いに行った時がきっかけ。
初めて一人で乗った電車、新幹線、誰にも頼れないという不安だらけなのに、何故かワクワクしてしまったあの頃の自分。時間を間違えてしまった時の焦りと、全く知らない土地に降り立った時の不安。そして、友達と出会った時の安心感。
全てが昨日のことのように覚えている。私の脳裏に、焼き付いている。
同じ日本なのに、少しだけ離れた県なのに、輝いて見えたのは旅をしたからなのか、それとも興奮していたからなのか。もしかしたら両方なのかもしれない。
たったそれだけのきっかけで私は一人旅の沼にハマってしまったのだ。
国内外関係無しに、一人で旅行した回数は両手でも足りない。友達と一緒に行くことももちろんあったのだが、私はどうしても『一人旅』に魅力を感じて堪らなかったのだ。
目の前に餌を置かれた犬のように、旅行と聞いたらヨダレが止まらなくなる。最も、私の場合はヨダレではなくて鳥肌が立つのだが。
一人旅は自分を見つめ直す時間。この時ほど考えることはない
一人旅の魅力を聞かれる時に必ず言うのは、一人旅をしていると考える事が多くなるということ。だって、自分一人だから。独りぼっちではなく、自ら一人を選んで旅をしているので自分のことを見つめ直す時間にもなる。
今までの私とこれからの私。どうして行くのか、どうやって生きて行くのか。はたまた自分で選択をする時に何を考えて判断をするのか。この時程考える事は一人旅以外にはないと思っている。こうして自分のことを考える事によって、新たな発見を見つける事が出来るのだ。
それ以外にも一人旅の魅力はある。誰かといるとその感動を共有する事が出来る。むしろそれが醍醐味でもある。
しかし、綺麗な景色を見た時、美味しい食べ物を味わった時にはいつも一人。一人だとその感動を一人で噛みしめる事が出来る。壮大な景色を見た時、人間が作った素晴らしい建物を見た時に感じるあの感動は何物にも代えがたい。
一人旅の魅力に取り憑かれた私は『生涯旅人』であり続ける
腹の底から湧き出るような感動と、言葉が出なくなる気持ち。現実世界にいるのに異世界にいるような感覚。きっとこれは一人旅の魅力に取り憑かれてしまった人にしか分からないのかもしれない。
これからもきっと私は一人旅を続ける。誰が何と言おうと、一人旅を止める事は決してない。恋人がいても、結婚しても、一人旅の魅力にとらわれたまま『生涯旅人』である事を突き通して行くのだ。