お父さん、お母さん。今まで黙っててごめんね。
私、自分の名前が嫌いだった。
名前は親が最初にくれたプレゼントだって分かってる。
でもあの頃は、自分の名前が嫌いだった。
「愛が実るって素敵な名前ね」
周りの人はそう言うけれど、私には理解できなかった。
”愛”と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは夫婦。
昔から「夫婦は愛し合うもの」みたいな固定観念があるけれど。
私の家では、夫婦という形が”愛する二人”ではなく、”憎み合う他人同士”にしか見えなかった。
「私の両親には”愛”なんて存在しない。”愛”が実るなんて嘘だ」
そう思った頃から、自分の名前が嫌いになった。
でも最近、”愛”について知ったことがある。
ある日、スーパーで、
「これ、パパが好きだから買おう」
と母が言った。
いつもは「大嫌い」と言っているのに、なぜお父さんのことを考えるのか。
その時は理由がわからなかった。
でも今ならわかる。
無意識に人を思いやること。
その人のために何かしたいと思うこと。
これも”愛”だ。
両親の愛を知らなかったのは私の方だった。
自分の名前が嫌いだった話はここで前言撤回!
この名前は私にとって一生の宝物。
お父さん、お母さん。綺麗な名前をつけてくれてありがとう。