体調を崩して気付いた譲れない条件。いつか憧れの暮らしを

現在27歳。実家暮らし。
私は一人暮らしも実家暮らしも両方経験がある。
最初に「一人暮らしをしたい!」と思ったのは、17歳。高校3年生。
父が高卒で九州の田舎を出て、大阪に就職したのが18歳だった。私ももうすぐその年齢だった。
正直、将来役立つかも分からない受験勉強をするより、自立して生活する方に興味が傾いていた。
中学の社会の先生が授業中にチラッと言ったことを思い出した。
「僕は親元から離れたくて、なるべく遠くの大学へ行ったんだ」
ちょうど同じ気持ちだった。
進学校に通っていたものの、成績はいつも学年で底辺だった。もう同級生たちが目指すような難関国公立大学に現役合格するのを諦めていた。
もうどこでもいいから、遠くに行きたい。
模試の志望校一覧には、関西圏以外の地方の大学の名前をやみくもに書き連ねた。親や先生には「アホか」とあきれられた。
結局、関西圏の私立大学に進学。実家から片道2時間かけて通うことになった。
「実家が田舎過ぎて、とてもじゃないけど電車で通えないから~」と笑う下宿の同級生。心底羨ましかった。
次に一人暮らしのタイミングが回ってきたのは、社員寮がある会社に転職をした23歳の時。
新卒数ヶ月で前職を辞めてニートをしていた私。
実家での居場所も失っていたので、絶好のタイミングだった。
前職では遊ぶ暇も気力もなかったので、貯金がいくらかある。
これで独り立ちをしたと、親を安心させられるだろう。
念願の一人暮らし。カーテン、ベッド、こたつ、キッチン用品。その他諸々。
全て自分好みで揃えた。
常にテレビが付いていて、誰かが喋っている騒がしい実家とは正反対に、静かで穏やかなワンルーム6畳。
約半年間、自分だけの城で優雅に過ごした。
少しずつ体調が崩れ始めたのは、生理が3ヶ月止まっていると気づいた時。
そこから立て続けに身体の不調が起きた。
給料の何割かが病院代、薬代、通院の交通費に消えた。
「あ、これは大学受験期に心療内科に通っていた時と同じ状況だ」
原因を突き止めてみた。
同じ部署から半年で6人も辞めている。
そのせいか上司がますますピリピリしている。
そして、あのワンルーム。昼間でも日の光が全然入らない薄暗い部屋。
自炊しようという気力が削がれそうな、狭すぎるキッチン。
あの部屋にいる限り、あの部屋を所有しているこの会社にいる限り、治らないな。
お金貯めて外部の別の物件を借りる方法もあったが、安月給で昇給も見込めなかった。
胃腸炎を起こして限界を感じた時、退職届を出した。
キャリーケースに荷物をまとめて、嫌だけど会社に居るよりマシと思って実家に戻った。
あれから3年。現在、実家暮らし。
現在の職場は恵まれていて、元気に健康的にやっている。
今は半年後に再び実家を出れるように貯金をしつつ、たまに物件を探す。
南向き日当たり良好で、キッチン広め。
何よりも外せない条件になった。
物件を探すうちに、ふと頭によぎる。
「実家暮らしでも、一人暮らしでもない、二人暮らしができたら最高かも」
自分磨きにも勤しむ日々を過ごしている。
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