私は、今年4月から1人暮らしを始めた。それは、就職先が県外であり、どうしても家から通うことが出来なかったからだ。
この仕事に就くために私は大学時代、毎日勉強していた。やっと叶った自分の夢だったため、この仕事以外は考えられなかった。

夢は叶ったけれど、1人暮らしはとても辛い選択だった

しかし、自分の夢のためとわかっていても、発表された時は涙が止まらなかった。これまで過ごしてきた家族と別れ、1人暮らしをするということは、私にとってとても辛いことだったからだ。
母の代わりに家の家事を全てを行い、また祖母の介護をしていた私がいなくなるということは、私の家にとっても大きな痛手であった。そのため私の就職先が決まってすぐ、祖母は介護施設に入れられた。
私は祖母が大好きであったため、私のせいで介護施設に入れられたことに涙が止まらなかった。介護施設に祖母を入れた日のことを私は一生忘れない。
空っぽになった祖母の部屋で大声を上げて泣いたこと。温かかった祖母の手、いつも私を庇ってくれた祖母の優しさ、本当に大好きだった。

最初は自由で楽しかったけれど、今では寂しい1人暮らし

そして、4月になりスタートした初めての1人暮らし。最初の頃は自由ということもあり、とても楽しかった。なにより、自分のなりたかった職業につけたことが嬉しく、毎日を過ごしていた。
しかし、今まで22年間6人家族で生活してきた私にとって、この日々はとても静かで寂しく感じた。家に帰っても1人、職場でも皆歳上であり、ほとんど会話もなく仲の良い人など1人もいない。
そんな私にとって1人暮らしはただ、家に帰ってご飯を食べ、お風呂に入り、寝る、その繰り返しである。仲の良い友人も皆地元にいるためなかなか会うこともできず、休日もほとんど家でぼーっとして過ごしている。
舞台観劇が趣味であったが実家を出て1人暮らしを始め、実家に仕送りもしているため手元に残るお金がほとんどないため、見に行くことが出来ない。お金さえあれば……と願う毎日である。

早く地元に帰って祖母を迎え入れたい。笑って過ごせますように

しかし、実家では父が体を壊し退職、母と妹は障害を持っており、家の家計を私と末の妹の仕送りで賄っているため自分の生活に当てるお金などほとんど残らない。新しい趣味を見つけようにも挑戦する勇気、お金、それが今の私にはない。
私はこれから先もこんな生活を続けるのであろうか、日々泣きそうになりながら孤独に耐え、1日1日を過ごしている。
早く地元に帰りたい、そして、祖母をまた家に迎え入れたい。そう願う毎日である。
今でも家族6人で過ごしていた時のことを考えるだけで涙が止まらない。
異動願いが叶うといいな。もっともっと笑って過ごしたい。もっともっと日常を豊かにしたい。ただこれが私の唯一の願いである。
来年の1月に地元に異動できるかどうかの発表がある。それだけを頼みに毎日を過ごしている。
来年はもっと笑って過ごせますように。祖母を笑顔で迎えに行けますように。実家暮らしの時は憧れていた1人暮らし、それがこんなにも辛く悲しく寂しいものだなんてあの頃の私には分からなかっただろう……。