クリスマスと聞いて思い出すこと。それは楽しい、幸せなクリスマスの日よりも、今思うと少し悲しかった日のことだ。
私と元カレの話である。彼と過ごした2回目のクリスマスのこと。
クリスマスの少し前から私たちの関係はぎくしゃくしていた。
でも別れたくなかった。だって好きだったから。
元カレと過ごしたクリスマス。その日なら奇跡が起こると期待していた
こんなにも人を好きになれるなんて知らなかったし、こんなに幸せな気持ちになれることも彼に出会わなければ決して知ることはなかっただろう。だからこそ、2人の関係の歯車が狂い始めており、きっとうまくいかないであろうことも薄々わかっていたけれど、クリスマスは一緒に過ごした。
クリスマスには何か奇跡が起こるんではないか、という淡い期待もあった。なぜなら、誰にとってもクリスマスは幸せの象徴的な行事だと思うから。
その日は、都内にイルミネーションを見に行った。周りの人からは、きっと私たちは普通の何気ないカップルがデートしているように映ったことだろう。
イルミネーションを見ながら、久しぶりに手をつないだ。そしていつもは喧嘩ばかりだったけれど、この日は楽しく笑いあうことができた。
おしゃれなお店なんて予約していなかったので、入れそうなお店に適当に入った。あの時飲んだカルーアミルクの味がずっと忘れられない。そして、それ以来カルーアミルクを飲むたびに、このクリスマスの奇跡的な時間を思い出す。
奇跡のような日に人目も気にせず号泣。彼に夢中だった私
カルーアミルクを飲みながら、クリスマスプレゼントに大人っぽいデザインの黒いおしゃれなニットのカーディガンをもらった。
あの頃は、大人っぽいデザインを好んで着なかった私だったが、その日以来少しずつではあるが大人っぽい系統の洋服も着るようになった気がする。
あの日の彼からのプレゼントは、私を変えてくれた気がする。
今でも大切に着ている。なんか勇気が欲しい時、そのカーディガンを着ると勇気が湧いて奇跡が起こってくれるような気がしている。
あの日は、写真が大嫌いだった彼が、珍しくカップルらしい写真を撮らせてくれた日でもあった。私はそれだけで幸せだった。
今思うと、いろいろな特別が起こった奇跡のような日であったと思う。
あの日、私は渋谷の駅で泣きながら彼との今後について話した。狭い路地で寒い中、人目も気にせずに号泣するほど彼に夢中な私は、今思うと見苦しかったかもしれない。
クリスマスには、あのイルミネーションとカルーアミルクを思い出す
男に執着し、依存する女は情けないし見苦しい。それでも、それだけ彼との恋はお互いたくさんの初めてを共有した特別な恋だった。周りが見えないくらい必死だった。
彼との出会いは、今の私にとってもきっと特別なことに違いない。別れてしまったけれど、過去があって今の自分があることは確かなのだから。
今、別の男性と付き合っている。それでもどうしてもこの季節になると、あの青いイルミネーションとカルーアミルクの味を思い出す。あの日の特別を、今の彼氏と越えることはできないのだろうか。
残念だけれど、きっとできないのはわかっている。初めてはなんでも特別になってしまうのだ。今年のクリスマスを、何年かして微笑ましく思い出せるような日にしたい。