私の中で、クリスマスの思い出といえば、4年経とうとしている今でも、心の整理がつけられていないことがある。
時は大学4年生のクリスマスまで遡る。
私は大学に入る前から、レストランのキッチンでアルバイトをしていた。
クリスマスは一年で一番の稼ぎ時で、大忙しの時期であった。
そんな忙しい時期のはずが、大学4年のクリスマスは友人たちとクリスマスパーティーを楽しんでいた。
その理由は、4年続けたバイトを11月中旬であっさり辞めたからだ。
一年で一番の稼ぎ時であるクリスマス前に、バイトを辞めた理由
一年で一番の稼ぎ時であるクリスマス前に辞めた理由としては、卒業論文の締め切りががクリスマス前であったということ、そしてその後も卒業に向けたテスト勉強、引っ越しの準備と忙しくなりシフトに入れなくなるためだ。
「完全に辞めなくても良かったのではないか?」
この疑問は何回も自分の中に湧き上がって来たが、結局辞めることになったことにはもう一つ理由がある。
その年の10月に全国的に賃金が改定され、私の時給も底上げされた。
10円底上げされたのだが、最低賃金プラス10円だった。それは、入って1年以内の高校生と10円しか変わらないというのが、当時引っ掛かっていた。
その前に一度、4年間働いてきて、夜シフトのキッチンのリーダーをやっていることを引き合いに、賃金交渉を行っていた経緯があり、昇給を楽しみにしていた経緯もあり、落胆の気持ちもあった。
アルバイトの内容自体に不満はなく、職場にも年齢が近い人もいて、楽しく働いていた。
それまでのクリスマスも、深夜まで働くことに疑問は持っていなかったし、クリスマスに恋人との予定もなかったので、不都合もなかった。
余談だが、不思議とクリスマス前には、それまで仲良くしてた人とも疎遠になるという現象が起きていた。
クリスマスに向けて、仲を深めて行く11月終わりあたりから、私はアルバイトが忙しくなり、土日は必ずシフトに入る生活をしていたからかと、今振り返って思う。
「もっと迷惑をかけない方法があったのでは」と、毎年思うのだ
11月に辞めるまで4年間働いた職場であったけれども、強く引き止められることもなく、エプロンを返した。
当然のことだが、年明け3月に行われた送別会にも参加できず、虚しさだけが残った。
社会人になり、企業で働き始めて、当時のアルバイトの何倍もの月給を手にすると、アルバイトの時給問題は、些細なものだったのかと思う。
雇う側としても、人件費の割合は抑えたいところだとは思うが、当時の私は某ドラマに感化され、「やりがい搾取だ」と息巻いていた。
愛着のあるアルバイトだったからこそ、有終の美を飾れなかった、4年間頑張ってきたが、必要とされなかった一方で、自分の選択にバイトメンバーに迷惑をかけたという罪悪感から、納得できていないのだと思い続けている。
もっと自分の要求を強く押し出し、給与交渉をした上で、卒業論文の執筆に支障が出ない程度に働いていれば、この気持ちにならなかったと思うと同時に、私は迷惑をかけたことを当時のバイトメンバーに謝りたいのだと気づいた。
少なくとも、「もっと迷惑をかけない方法があったのではないか?」とクリスマスが近づくにつれ、毎年思うのだ。