2021年春、私は大学院に入学したのと同時期に就職活動を始めた。
自分の意志ではなかった。
父親が「就職活動は先手必勝。夏が勝負だ」と急かしてきたから。
父との面倒を避けるために就職活動開始。見事に落とされた
父は自分が正しい、正義であると勝手に思い込んでいる節があり、私が少しでも否定すれば怒鳴り散らす。最悪の場合は手も上げるような人だ。
20代の元気な体であっても大男の力には到底及ばない。そんなのわかっている。
だから、怖い思いをしないためにも、指示に従うほうが気楽なときもあるのだ。
さあ研究に打ち込もうと意気込んでいた矢先ではあったけれども、いつもどおり私は父親との面倒を避けるために就職活動なるものを始めてみた。
「エントリーシート」ではどうやら「ガクチカ」とかいうものを尋ねてくるらしい。右も左もわからない私は、思いつくままにそれとなく体裁を気にしつつ書きなぐって期限ギリギリに提出した。
そして見事に落とされた。
何だこれは。こんなことをして何が楽しいんだ。私は大学院に入ってまでしたかったことはこれなのか?こんなことを父親は勧めていたのか?気が狂ってるんじゃないのか?
まるで私の学生生活を全否定されたような気分だった。まだ5月の新緑が目一杯生きようと、新たな生命に喜びを感じている時期のことだった。
人生で1度だけ目を腫らしてまで泣いて訴え、父親に反抗した大学進学
そんな私にも就職活動に前向きになれる出会いがあった。
就活イベントでとある企業を知った。決して大きな規模ではないものの、仕事に対して熱意を持っていて、お会いしたすべての方が就活生に親身に向き合おうとしてくださった。そんな雰囲気に惹かれ、夏インターンシップに参加した。そこで自分のモチベーションを支えるものはなにか見つめ直すきっかけをくださった。ワーク時間は真剣に悩み、やっと答えにたどり着いた。
私のモチベーション。それは意思決定権を持った瞬間だった。
先に話したように、私は面倒なことを避けるためになるべく父の指示を守って生きてきた。
しかし、人生で1度だけ目を腫らしてまで泣いて訴え、父親に反抗したことがあった。大学進学だった。
父親としては「地元にある大学の医学部に進学して将来医者になってほしい、もしくは、国家公務員になって将来安泰な生活を送ってくれればいい」なんてことを言っていた。
「そんな言いなりになってたまるか」
私は反抗した。将来なりたい職業なんてなかったくせに。親に楯突いたのだ。逆らったのだ。
私は地元を出て親戚も誰もいない遠いところで一人暮らしすると宣言した。現役合格というおまけを付けて。
もちろん父親としては面白くない。受験期直前まで争った。でも、私は止まらなかった。
そしてやってやったのだ。父親から離れた。人生で初めて自由になれた気がした。
父親との因縁を終わらせ、辛い就職活動も次へ生かす年にしたい
2022年、終わらせる。
就活も、父親との因縁も。
そして始めてやる。
ここからは自分にしか描けない自分の道だから。
就職活動は悩むことが多い。友人とも進捗の違いでギクシャクする。残酷で現実的でどこか自分を否定されるようで辛いものだ。
でも本当にそれだけだろうか?
今までの人生を見つめ直し、次のステップへ飛び立つ準備としてうまく使えば、未来は何色にでも変えられる。そんな希望めいた言葉だって浮かんでくる。
悪いことばかりじゃなさそうな2022年に期待を込めて。