社会から切り離された、2021年はそんな1年だった。
心を病んで入院し、二度目の休職後、そのまま退職。本当は復帰しようと上司と面談もしたが、二度目はなかった。
怒鳴ってきた上司のあの顔は今でも夢に出てくる。その度に過呼吸を起こし、私の心を掻き乱す。

仕事で価値を見出していた私には無償の家事が辛く、追い込まれていく

必死に働いていたのに、私の居場所はもうない。
築き上げたものが一気に崩壊した。
それと同時に、ものすごく小さな空間に執着していた自分に気がついた。
退職するのは怖かったけど、執着心だけではきっと続かない。
失って気がついた広い世界。
今すぐにでも飛び出したかった。

でも壊れた心はなかなか治らないらしい。やりたいのに動けないのだ。
周りの人や医師の助言で、退職後は結婚し専業主婦になった。
まずは休んで、家事をできるようになりなさいと。それから社会復帰に向かって進みましょうと。
納得いかなかった。
仕事をしないことに対して焦りがあったから。
収入もなくなるし、そうしたら生活するのも大変だ。
親にも援助してもらうのも気が引けた。
私は社会から孤立するの?
そんな事をぼんやり考えていた。
納得してなかったからだろうか。どんどん私は壊れていく。

家事はそこそこできる。
仕事をしながらでもやっていたから。
しかし、今まではお金で自分の価値を見出していた私にとっては、無償の家事は何も評価されていない気がして辛くなった。
家事だって立派な仕事なのに。
周りは仕事や育児をしながら働いているのに、私はなんで家事しかできないんだろうと他人とも比べた。
どんどん自分を追い込んでいく。

やりたいことと、更に壊れる心。ぐちゃぐちゃな私は暴走自動車のよう

取り柄がないと自己肯定感が低い私は、家事以外に何かできることを見つけようと模索した。まだ心は回復していないのに。
そうしたら、やりたいことが頭の中に溢れていった。
溢れてぐちゃぐちゃになって四六時中頭で鳴り響く。脳が休まらない。
そのまま頭の中に従って、様々な事に手を出しては疲れるという負のループにはまり、心が更に壊れていった。
心だけではなく身体も。
自分のことをコントロールできなくなっていた。暴走する自動車のようだ。
これを多動というらしく、発達障害とも診断された。

何も考えたくない。
広がる世界に希望を見つけたはずなのに、どんどん世界が狭くなった。

SNSでは幸せな投稿が目につく。
こんな精神状態では見ない方がいいとわかっていても、気になってしまう。
日常の一部を切り取っただけで、それがすべてではないとわかってはいるけれど、キラキラした世界を見るのは心が痛い。
そんな中にひとつの広告が流れてきた。「かがみよかがみ」。吸い込まれるようにホームページを開いた。
広告なんて邪魔なものでしかないのに、その時は何故か惹かれた。
皆いろいろな事を抱えて、それでも生きているんだ。少しほっとした。
苦しいのは自分だけではない。

苦しむくらいなら、全部吐き出そう。視界が広がり、前に進める気がする

このタイミングで広告が出てきたのは、なにかの縁かもしれない。
そしたらやってみよう。
自分の中で苦しむくらいなら、全部吐き出そう。
対象年齢の29歳の終わりまであと半年だ。
そう思って私は今、文章を書いている。
思っていることを言語化するのは苦手。小学生の時に作文を書き終えるのもいつも最後だった。
でも、書くことによって少しでも社会と繋がれたら、どんなに素敵だろうか。
そう思ったら視界が広がり、少しだけ前に進める気がする。

今年の私は少しずつでも前に進む。
自分を傷つけない。
大切な人を大切にする。
この三つを意識して生きていきたい。

狭い世界で生きているのかもしれないけど、悲しんでくれる人がまだいる。
私は一人ではないのだ。その事にも不幸なことに自分を傷つけて、気がつけた。

今日は、新しい世界に向けての一歩になりそうだ。
いや、もう進み始めてるかもしれない。
広い世界を知るために自分を発信していこうと思う。