ホルモンバランスの乱れから、子どもを授かりづらいと分かった
私は、2022年3月30日に結婚することを決めていた。
それは2人が1年前に初めて出会った日。その日から、とんとん拍子に事がうまく進んで一緒に暮らすようになって、今は2人が出会った特別な日に結婚しようと心待ちにしている。
新年が明けた1月4日。私は婦人科クリニックの診察台で機械の流れに身を任せ、ゆっくりと股を広げていた。卵巣の中には、小さなたくさんの未熟な卵子と左右に1個ずつ頑張って成長している卵子がいた。
私は結婚する前に、妊活を始めた。婦人科の先生に、多嚢胞性卵巣症候群と診断されたからだ。簡単に言えば、ホルモンバランスの乱れから、卵子がしっかりと育たず、毎月排卵できていない。排卵をしなければ、受精もしない。子どもを授かりづらいということだ。
仕事の合間にクリニックで受診する上司。私は応援していたけれど
2021年の夏頃、上司が鬱になって休職した。上司が休職する前に、仕事の電話をしているときに、「私、不妊治療を始めようと思っているんだ。だから、急に受診したり迷惑をかけると思う」とカミングアウトされた。
仕事の合間にクリニックへ受診へ行く上司。私が体調を悪くすると、妊娠しているのではないかと言われたことがあった。笑顔ではなく、険しい表情で。
私は「不妊治療大変だと思うけど、頑張ってくださいね」と応援していた。
ただ、その時私は生理不順で長年ずっとピルを飲んでいた。だから、自分が妊娠しづらい可能性があることは薄々実感していた。
私の勤めている会社は小さな会社だから、1人でも欠けてしまうとカバーしようがないくらい大変だ。上司の不妊治療の話を聞いて、私も病院で血液検査くらいしたいと思っていたけど、上司が受診で度々仕事を抜けることで仕事が更に忙しくなり、それどころではなくなった。
そして上司は、不妊治療と仕事での重圧が重なり、鬱で休職した。
私は忙しかった仕事が更に忙しくなる。
そんな生活の中、彼とはいつでも子どもを授かっても良いと話していたので、避妊は半年ほどしていなかった。
私にとって妊娠することは、奇跡なんじゃないかと考えるように
でも、妊娠もしていなければ生理も来ない。
上司から聞いていた不妊治療や、周囲の友達がどんどんママになっていくなか、妊娠することって偶然できたなんて言う人もいるけど、私にとって多分妊娠することは奇跡なんじゃないかと考えるようになった。
「よし。婦人科へ行こう。次は妊娠を希望する人として」
そう決意して、婦人科を受診した。先生から多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症疑いと伝えられた。そしてエコーで卵巣の腫れや出血も分かり、しばらく様子を見て改善しなければ手術が必要な場合もあると言われた。
薄々とわかっていたことだったがショックだった。
彼にこのことを涙目で伝えたら、彼はこう言った。
「辛かったね。不妊治療は積極的にやっていきたいし、早めに知れて良かった」
彼の言葉にはすごく救われた。
妊娠ができなかったらどうしよう。どこまで不妊治療を進めれば子どもを授かれるんだろう。色んな不安が押し寄せてネットで様々なワード検索をしては落ち込んでいたから。
彼と出会うまでは、仕事や趣味に没頭していたけれど。今では
「子どもなんてまだいいや」
彼と出会うまで、ずっとそんなことを思って仕事に一生懸命になったり、自分の趣味にお金や時間をたくさん使って楽しんでいた。
いざ、彼との子どもを授かりたいと思った矢先に、自分の身体を恨んだ。
“一人の女性として”、女性が一生をかけてやりたいこと。
上司が不安と期待のなか話してくれた不妊治療の話。
仕事が忙しくなったときは、ちょっぴり歯痒さも感じた。
だけど今の私に勇気をくれたと思う。
2022年の私の宣言、「ママになる」。