わたしは一人旅がすきだ。
元々友人が少ないからという理由も正直あるのだが、それだけではない。
一人旅は私にとって、自分を試すために欠かせない存在なのだ。
今まで20か国程度は一人で旅をしているが、その度に私は自分を試す機会に出くわしている。今日はひとつ、一人旅を通して自分が試された機会を共有したい。
ATMもコンビニもタクシーも。サラエボ何もない?事件の思い出
私はあるとき東ヨーロッパを一人で巡っていた。そんなときにセルビアを経由して訪れたのが、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボであった。サラエボというと歴史の授業で聞き覚えがあるかもしれない。そう、第一次世界大戦のきっかけとなった事件が起きた場所である。
正直その程度の知識だけで、私はバスでサラエボに向かった。
バスから降り立つと、なんということだろう、首都のはずなのに過疎感に溢れていた。私は東欧を巡っていたときにまずバスを降りてからATMで現地通貨を引き出していた。しかし、サラエボではATMも見つからなかったのだ。
頭の中では完全に「首都とは……?」となっていた。
コンビニもないし、けど現地通貨がないとバスにも乗れない。お金を借りれないかなと現地の人っぽい方々に声をかけても英語が通じない(というかそもそも人が全然いない)。じゃあタクシーの運転手さんにとりあえず乗せてもらえないか交渉しようと思い、タクシーを探すも、これもまた一台も見当たらない。
首都なのに変だなと思った。ググると、衝撃の事実が書かれていた
このとき正直あー終わったなと思った。しかし、不思議とそこまでメンタルはやられていなかった。とりあえずベンチに座って黙々と英語が通じる人と会えるのを待ってみていた。なんなら、この自分が試される状況下に置かれ、こんな状況で冷静でいられるなんて私成長したなと謎の満足感を得ていた。
結局、英語を話せる方がなんとか見つかり、バスに乗れるだけのお金を恵んで頂いた。そして、無事バスに乗ることができ、観光地にたどり着くことができた。
バス停が多少観光地から離れているとはいえ、首都でATMもコンビニもタクシーも見かけられなかったなんて変だなと思い、ホテルに着いてから私は「サラエボ バス停」とググってみた。すると衝撃の事実が書かれていた。
なんと、ボスニア・ヘルツェゴビナという国にはボスニア人とクロアチア人で構成されているボスニア・ヘルツェゴビナ連邦と、セルビア人で構成されているスルプスカ共和国の2つが存在していたのだ。
そして首都サラエボはまさかの国境線上。観光地があるのはボスニア・ヘルツェゴビナ連邦のサラエボだが、私はセルビアからバスで訪れたので、スルプスカ共和国のサラエボに降り立っていたのである。
どうりで観光地のあるサラエボと雰囲気がだいぶ違ったわけだ。詳しいことは省くが、ボスニア・ヘルツェゴビナでは民族対立が長らく続いており、私は目で確認することができなかったが、現在でも国境があるほど事態は複雑なのである。
私はこのとき、なんて自分は無知だったのだろう、普段生活していて想像できない世界線だなと反省ならびに困惑したのであった。
一人旅は自分を試す機会を与え、成長すべき点を教えてくれる
サラエボでの一件で、私は自分が試される環境下におかれ、自分が精神的に強くなっているという成長の実感と、世の中に対する無知さという自分から欠如している部分の発見ができた。
私は普段自分のことが大好きでついつい自らを甘やかしがちである。そのため、普段あまり私自身について分析したり、深く考えることはない。そんな時間があったら、一秒でも長く眠りたいというダメ人間だ。
一人旅はそんな私に自分を試す機会を与え、私は自分の成長とこれから成長させていくべき点を見つけることができる。一人旅は私の成長に必要不可欠なのだ。だから、わたしは一人旅がすきだ。