年明け最初の出社時、社長に聞かれた。
「今年の目標は?仕事以外で」
私はこう答えた。
「丁寧な言葉遣いをすることです」
具体的に言うと、自分に課した「マジ」と「やばい」追放令だ。

「若いから」がまだ通用する年齢の私だけど、ギャップも感じ始めた

若者言葉のように扱われているが、その汎用性の高さからもはや10代、20代だけの言葉ではなくなっているようにも感じる。それでもやっぱり、私の思い描く「素敵なオトナの女性像」は、決してそんな言葉を口にしないのだ。

世間的に見ればまだまだ若いと言われる年齢の私。社会人歴も浅く、まだ「若いから」がなんとか通用すると思う。
でも、新成人が2000年代生まれという事実に衝撃を受けたことや、高校生を見て「自分とそんなに変わらない」と思えなくなってきたこと、ケーキの食べ放題をそれほど魅力的に感じなくなってきたことなどから、少しずつ、でも確実にオトナになっているんだと感じる。焼き肉の食べ放題はまだ大歓迎なので、十分若いと思っているのだけれど。

それで、年相応の「オトナの女性」に近づくべく、まずは言葉遣いから改善しようと考えたのだ。高い化粧品や良い服はもうすこし稼げるようになってからで十分だと思っているし、なにより良いものを纏っている人の言葉遣いがあまりよろしくなかったら、見た目とのギャップでかなり残念だと思う。

お姉さま方が日常的に言う、「やばい」「マジ」に覚える違和感と衝撃

そう思ったのは、大学生のときのバイト先の社員のお姉さま方がきっかけだ。男性もいたが、圧倒的に女性の多い職場だった。その日のシフトが全員女性なんてざらにあるくらい。
社員の方はみんな「お姉さま」と表現できるくらいには若かった。実年齢は定かではないが、少なくとも外見は。

それなのに、全員ではないが大方言葉遣いが荒かった。暴言を吐かれていたわけではなく、むしろ気にかけてくれていたのでそこはよかったのだが、「危ないから気をつけて、倒れたらやべーぞ」「マジで?確認する」のような言葉を、今の私よりも年上であろう当時のお姉さま方は日常的に口にしていた。

その時に覚えた違和感と衝撃を今でも覚えている。失礼だが、その年齢でマジはないだろ、と。私もそういう言葉を日常的に使っていたので人のことを言える立場では全くないが、自分はまだ許される年齢だと思っていた。実際、大学生ならまあいいと思う。

社会人になって、目上の人しかいない会社内や取引先との会話でそういった言葉が出てくることはさすがになかったが、大学の同期や幼いころからの友人と会った時にそれを連発している自分に気づいた。当時のノリで話してしまうせいもあると思うけれど、なんかこう、すごく頭が悪そう……と自分で思ってしまった。

誰かをけなすつもりはなく、自分を好きでいるために言葉を丁寧にする

私よりも年上で、そういう言葉を使う人をけなすつもりは全くない。それに言葉遣いだけで人を判断するのも違うと思う。初対面ではもちろん印象を左右するけれど、ある程度その人を知ってしまえばもうさほど気にならない。私の尊敬してやまない人達も、みんながみんな丁寧な言葉遣いかというともちろんそんなことはないけれど、それで尊敬の念が薄まることはない。素敵だと思う人は、マジと言おうがやばいと言おうが素敵なのだ。

それでも、そんな言葉を使う自分が好きになれなくなってきた。とはいえ、小学生の頃くらいから日常的に口にしてしまっていたせいもあり、これを全く言わないようにするのはきっととても難しいことなんだろうと思う。実際、意識し始めてからも何度も口をついて出てしまい、あ、またやった、と思っている。そしてその回数の多さといったら。とてつもなく長い道のりである。

1年かけて、意識せずとも言わないまでにしたい。今年の終わりにそうなっていることができたら、ご褒美に少しだけ高い服か化粧品か、オトナの女性らしいアイテムを買おう。