2021年、28歳になった年。12月の源泉徴収票を見ながら、マスクの下で思わずニヤリとした。
目標だった年収600万円を達成したのだ。

給料から生活費や貯金を引いて、手元に残ったお金で「寄付」をする

私には同期の夫がいる。我が家の家計は、夫が支払い担当。家賃・光熱費・通信費・ウォーターサーバー・コストコ会員費等々の固定費を支払ってくれている。
私は貯金担当で、月17万円を専用の口座に貯蓄している。ボーナスは年2回、ふたりで6割~7割を貯金用口座に預け入れる。
食費は、調理担当者(平日は早く帰宅したほう、主に私。休日は夫)がメニューに合う食材を自分のお財布から買ってくる。貯金、食費を引いて私の手元に残るのは、15万~18万円ほど。それで服を買ったり、友達と飲みに行ったり、旅行をしたりしている。

手元に残ったお金でもうひとつ、私がしていることがある。寄付をしている。
若年女性を性風俗ビジネスから保護する一般社団法人や、ポルノ被害に遭った女性の相談窓口を設けるNPOなどに、寄付をするようにしている。

私は特別優秀ではないけど、寄付することで傷ついた女性を救いたい

年収600万円以上を稼ぐ女性は、給与所得者の6%ほどという情報を見たことがある(給与所得者全体だと20%)。28歳女性の年収は、約350万円だという(男性は約420万円)。
寄付ができるほど、余裕のある収入を得ている女性は少ない。だから、できる人がしなければならない、という使命感を勝手に持っている。
特に、男性が女性を搾取する構造になりやすいビジネスで傷ついた人を救い、望まない搾取をされる被害を防ぐための力になりたい、と思っている。

私は特別優秀ではなく、職に直結する専門教育を受けたわけでもない(大学の専攻は文学部だった)。そんな私が上位6%に入っているのは、給与の高い企業に応募し、たまたま採用されたからだ。
仕事ができるできない、頭の良し悪しに関わらず、どの企業、どの立場にいるかで収入は決まることを、社会人になってから知った。

日本では、女性が多い仕事、身体を壊さずにできそうな仕事、転勤がない仕事……と誘導されるように進んでいくと、自然と低賃金の立場におさまってしまう。
また、高収入女性はモテないという偏見や、家庭と仕事を両立できないといったイメージ(なぜか女性だけが両立を求められる)から、経済力は夫に求めるものだと思っている人も一定数いる。
自分より低収入の女性をわざわざ希望する男性はパートナーを見下したいモラハラだし、経済力がないと、何をされても離婚できない生き地獄に陥る。希望通り結婚できるとは限らないし、配偶者が元気に定年まで働ける保障はどこにもないのに。
しかし、女性側にやる気があったとしても、企業は男性を多く採用している。

多くの女性が自然に「男性と同じだけ稼げる社会」だったら

私のように特別運の良いケースではなく、多くの女性が自然に、男性と同じだけ稼げる社会だったら、望まない搾取をされる女性は減るのではないかと思う。夫や彼氏の顔色を伺って、結婚に対してプレッシャーを感じる女性も減るのではないだろうか?

お金は、引っ越し、離婚、留学、転職など、私の心の赴く道を確保してくれる。お金で最愛の夫を守ることもできるし、どこかで泣いている人に差し伸べる手とすることもできる。
問題は山積みだが、今の私にできることは、できる限り稼ぎ続けることだと思っている。そして、寄付をし続けること。これからも頑張って仕事をしようと思う。