猫島と呼ばれる宮城県石巻市の田代島に、ひとりで行ったときのお話。
コロナで友人との旅行全てがおじゃんになり、自粛生活を余儀なくされた。そんなとき書店で一冊の本を手に取った。
益田ミリさんの「47都道府県 女ひとりで行ってみよう」(幻冬舎文庫) 。
なんでも月に1度、1泊2日の旅に出て、47都道府県制覇されたとのこと。有名な食べ物や建物に絶対に触れなければならないという思い込みに捕らわれるのではなく、ただ行ってみるだけという旅のスタイル。
私は死ぬまでに食べなくてはならない、死ぬまでに見なければならないなどと、無意識のうちに「死ぬまでにしなければならない」病におかされていたかのように思う。
ただ行ってみるだけの旅をしようと決意し、猫島という愛称の田代島へ
ようやくワクチンが回ってきたところで、ミリさんのようにひとりでただ行ってみるだけの旅をしようと決意。場所は猫島という愛称が気になって、田代島に決定。思い立ったが吉日。いざ出発!
前日に、田代島行きのフェリー乗り場まで無料送迎をしてくれるというホテル「ホテルエムアンドケー石巻」に宿泊。扉を開けると可愛らしい猫ちゃんたちが出迎えてくれた。加藤たまさんという猫様が営業部長とのこと。お勤めご苦労様です。
朝は猫ちゃんたちがくつろいでるとこにお邪魔して朝食をいただいた。美味しいごはんは全て猫のイラストのお皿に盛られていて、つい頬が緩んでしまう。写真を撮りたくなったが、猫ちゃんの眼差しを感じ、スマホを取り出すのをやめた。
ホテルの方に送迎していただきお別れのとき、「向こうで猫に会ったらよろしく伝えてくださいね!」と猫への伝言を託された。猫愛だだ漏れの素敵な方だったな。
偶然出会った2人組のおじさまに案内され、島の隅々まで堪能
9:00発のフェリーに乗車。いざ猫島へ!
海を見ながら「かりゆし58」さんの「オワリはじまり」を口ずさんでいたら涙がつたーっと。ここは海があまりにも美しかったからってことにしとこう。
40分ほど波に揺られ、仁斗田港に到着。
ちょっと歩いたら早速、2匹のじゃれ合う猫たちを発見!!こっそり写真を撮っていたら、近づいてきて頭スリスリというビッグサービス!!
かわいいーーー!!!ありがとうございます!!!!!と、かなりテンション上がって、ひとりで「かわいい~、かわいい~!」と声に出しながらハイテンションで歩く私。すると、2人組のおじさまに「初めていらっしゃったんですか?」と声をかけられた。
軽く世間話をしているうちに、自然とお二方と一緒に周らせていただくことに。お二方は宮城県出身の方で、お一人はかなりの写真の腕前。猫の写真が主で、田代島へも何度も足を運ばれているとのこと。猫の出没が多いところや、隠れ絶景ポイントなどネットでは載っていないところにも案内してくださった。おかげで田代島を隅々まで堪能できた。
もうお一人は、素敵なカメラマンのご友人。持参のキャットフードを分けてくださって、猫と触れ合うきっかけをくださった。そしてこの方は猫に好かれる好かれる。私を器用にかわした猫もこのおじさまを追いかける。不思議な引力を持った方だったな。
3時間ほど楽しいお話をしてお別れの時、インスタを交換した。最後は何度も手を振ってお別れ。なんだかまた会えるのではないかと根拠もなく思うのだった。
おひとり様で旅してみるとひょっとしたら素敵な出会いがあるのかも
素敵な出会いから半年ほど経つが、お二人は私のインスタのなんでもない投稿にすかさずいいねをくださる。そんな私もお二人の素敵な投稿に、2回とんとん、としている。
ひとりで旅に出ると、思いもよらない素敵な出会いがあった。こんな世の中だからこそ、おひとり様でぶらっと旅してみるとひょっとしたら素敵な出会いがあるのかも。
ひとりのときこそ「こんにちは!」と声を掛けてみると旅の色がガラッと変わるのかもしれない。