男の人が怖い。
これって変な感情?

わたしは中学高校と、たぶんおんなのこが一番ピンクな時に恋愛を経験しなかった。それより前ももちろんなかった。男の人が苦手だったし、そんな空気は男の人にも伝わっていたと思う。
友達は色々言ってきた。恋愛しなきゃ!とか、彼氏としたあんなことやこんなこととか。好きな人ぐらいいるでしょ?じゃあきになる人は?好きな人とはくっついていたいとか手を繋いでいたいとか。

男っぽさはないけど、一緒にいてしあわせな恋人ができた

ハタチになって初めての恋人ができた。それまで友達に言われてきたことの、半分はよくわかったけれど半分はやっぱりわからなかった。
わかったことは例えば、好きな人がいるってしあわせだなあ、っていう気持ち。デートの前に、つい服やメイクに時間をかけちゃうってこと。
わからなかったことは、男の人は背が高くてオスっぽいのが素敵だ、とか、好きな人とはカラダを昼夜ピッタリくっつけていたい、とか。かれはわたしよりは背が高いけれど見上げるほどじゃない。でも背が低いからカッコ悪い、とは思わない。
落ち着いていて男っぽさはない。ごりごりさを前面に出されたこともない。手も繋いだことがない。たまに手を取りたくなるときはある、けど恥ずかしくてくっつけたことがない。夜もカラダをピッタリ、に至っては考えてみたこともない。
なんか生々しい感じがして、わたし達の仲には合わない気がする。

でもかれとならしあわせかもしれないけれど、でもわたしなら人前でそんな話はしないと思う。女友達だからって、なんでそんな恥ずかしい話をできるんだろうか。

男の人の目が気になる。性的な視線を向けられることが嫌だ

女同士の会話で苦手なものはもう1つある。自分のカラダの周期の話。恥ずかしがることじゃないのはわかるけど、わざわざ人に言うことでもないと思う。
生理きた!なんの報告だろう。よく言えるな。聞いている方もどうしてそんなにコメントできることがあるんだろう。わたしが黙ってすっといなくなったことにも気がつかないで。
恋愛や自分の性に敏感すぎるのは、わたしと、みんなと、どっちなんだろう。わたしの人生の中でいちばん考えてきた回数の多い悩みかもしれない。

あんまり過度にブリブリに可愛いデザインは苦手。これは好み。露出の多い服も苦手。これはどっち……?わたしは女らしくあることに抵抗があるの……?胸もお尻も大きくない。顔だって可愛くない。
自分が男の人ならあまり興味はないタイプなのはわかっている。でも男の人の目が気になる。性的な視線を向けられることがたまらなく嫌だ。
治安の悪いところや時代で、男の人はなおさら怖くなると思っていて。コロナウイルスが流行りだして間もない頃のわたしは今思い出してもとても異常だった。

ザクっと髪の毛を切った。ニット帽とマスクとメガネ。
絶対にズボンを履く。これはいつも通り。とにかく性別のわからない格好を心がけた。ちょうどその頃に人類滅亡の危機が迫った世界で、性犯罪被害にあったかわいそうなおんなのこの物語を読んだ。フィクション小説だった。

もっとかれのことを受け入れられるようになりたいから

わたしは何が何だか分からなくなっていた。他人に話して信じてもらえるのか分からないけれど、わたしはかれは、かれだけはだいすきだ。全然怖くない。嫌じゃない。それがかれにも伝わっていればいいなと思っている。
もしずっと仲良くしてもらえたら、この人と一緒になれたらしあわせだろうな、ととても思う。わたしも家庭に憧れる歳になった。人前で旦那、とか言う同年代の女性がとても羨ましく思うようになった。

まだまだコロナは続く中で、時代は進んで、セクシャルなことも事情が変わるかもしれない。わたしがセクシャルマイノリティの方に否定的なことを思わないのにはきっとわたし自身の事情もあって、そういった活動がどんどん進んでくれればいいなと思っている。
性の多様化とわたしの違和感は同じ方向性に光がある気がするし、わたしはもっとかれのことを受け入れられるようになりたい。泣きながら書いたわたしの願い。