先週、私は彼氏の前で泣いた。
子どもの頃からしっかり者と評価され、いつだって前を向いてきたはずの私が、2時間ほど泣き続けた。
あんなに涙が止まらなかったのは、人生で初めてだと思う。
夢のように楽しい彼との日々で、1人になった途端に溢れ出した涙
社会人になって夏を越したとき、私は彼と付き合い始めた。お互い好きで交際を始めたのは、恥ずかしながら彼が初めてだ。
これまでは相手に合わせて恋愛してきた。そんな私が、生まれて初めて両想いを経験した。
彼のおかげで毎日が夢のように楽しくなった。ヘトヘトな残業終わりは彼からのLINEの通知音で復活し、暇を持て余してきた休日は彼の笑顔が見られる特別な日になった。
嘘みたいに幸せで、私なんかがこんな日常を経験してしまって良いのだろうか、なんて本気で思う。
彼が私の幸せで、私は毎日幸せで、そんなはずだった。
だから、彼が理由で泣く日が来るなんて想像もしていなかった。
彼との関係が始まってから4ヶ月ほど経ったあの日、私の部屋に泊まっていた彼は体調が良くないからと早々に帰宅した。
「またね」と玄関の扉が閉まったとき、涙が溢れ出した。
どうしようもない不安感と寂しさが私の心を支配した。
駐車場から出て行く彼の車を見下ろしながら、しゃくり上げて泣いた。
その日の日中はどうしても外せない予定があり、私は何とか外出した。
時間が経てば平気だろうと自分に言いきかせた。
やがて予定を終えて帰宅したが、1人になった途端、再び涙。
どうしたら良いか分からず、断られる覚悟で彼に電話をかけた。
電話口で伝えた言葉の異変に気付いた彼は、すぐに部屋に
「会いたくなっちゃって」
「なんか、寂しくて」
「どうしたら良いか分かんなくて」
「どうしちゃったんだろうね」
いつも明るく気丈に振る舞う私の異変に気付いた彼は、すぐに私の部屋に来てくれた。
彼を見てすぐ抱きついた。
何も言えなくなるほどに泣きついた。
彼は無言でずっと私の身体を擦ってくれた。
少し落ち着いた頃、電話口で伝えたことを再び彼に訴えた。
「いつも我慢してるもんね」
彼は私にそう言った。
私、我慢していたのか。
楽しくて、幸せで、でも確かに、彼の愛情が欲しくて、自分より彼優先で、耐えることは多かったかもしれない。
彼に伝えたい「頑張らなくていい場所をくれてありがとう」
私は頼り方を知らなかった。
甘え方も知らなかった。
だから、どうしようもなく心が苦しくなったとき、どうしたら良いか分からなかった。
それでも、あの時私はたった1つだけできたことがあった。
彼を頼れた。
どうしたら良いか分からないなかで、彼を頼れば良いと、心が求めた。
そして彼は、
「気付けなくてごめんね」
「もっと頼っていいんだよ」
と言った。
1人で何とかしようと生きてきた私だけど、初めて1人じゃできないことを知った。初めて頼る場所を見つけた。
彼には心から感謝したい。
本当にありがとう。
弱い私を受け入れてくれてありがとう。
頑張らなくていい場所をくれてありがとう。
そして、これからもよろしくね。