2年半のダイエットで得たものは、3回の失恋と、「セフレにならしてあげてもいいよ、それ位にはかわいいから」という言葉だけだった。

4年の片思いに決着をつけるため、ダイエットを徹底的に開始

4年の片思いに決着をつけようと思って、私はダイエットを始めた。
まずはお菓子を一切やめた。今まで、お菓子をたくさん食べていたから、それだけで簡単に体重は減っていった。
お菓子をやめるだけでは減らなくなると、今度は運動嫌いなのに筋トレをはじめ、糖質やカロリーの値など食べるものにも気を配るようになった。毎日やるトレーニングを決め、それを徹底し、最初は全くできなかったけど、瘦せてかわいい女の子になりたい、好きな人の彼女になりたいと必死だった。1日にとっていいカロリーと糖質も徹底的に管理した。
こんな感じで体重が減らなくなると新たな制限を加え、いつしか私の生活は制限だらけになっていった。

もっと頑張らないと、可愛くならないと、こんなんじゃダメだ、どんどん自分を追い込んだ。トレーニングはどんなに疲れていても、生理中でもつづけた。
この頃から、トレーニング中に寝落ちすることが多くなった。
一緒に食べようと母親から渡されたお菓子も、もらった瞬間裏の成分表示を見て糖質、カロリーが制限を上回っていないか、確認し「いらない」と言ったりした。0.1キロの増加で自分を責め、水をがぶがぶ飲んで食欲をごまかし、何とかして体重を減らすために下剤を1日に2個使ったりもした。

付き合えるならなんだってする。15キロ痩せられた私は自信があった

自分を大切にできていないことはわかっていたし、心が廃れていくのも感じていた。
でも、恋愛の力はすごく強くて、辛い、苦しいと思っても、絶対にお菓子を食べようとはしなかったし、トレーニングをしないことはなかった。
今思うと、ある種の「呪縛」だった。私はその呪縛に2年以上もの間とらわれ続けていた。付き合えるならなんだってすると思っていた。異常だった。

結果、15キロ痩せた。顔のラインもシャープになり、着られる服も増えた。これならいける、付き合えるかもしれない。恥ずかしいけど自信があった。

でも、呆気なく振られた。4年の片思いはたった10秒で終わった。諦めきれなくて、まだチャンスはあるかもと思って、見た彼のインスタに写っていた彼女は、私よりもふくよかだった。微笑む二人は幸せそうだった。信じられなかった。
このダイエットは無駄だったんだ。一瞬そう思ったが、いや、違うそんなことない、私は頑張ったんだ、そう自分を奮い立たせ、自棄になった私は、少しでもこの人好きかもしれないと思った人に声を掛け、近づいた。

自分が大好きだったのに、体重と一緒に自分を減らしてしまった

本当に好きな人なんて一人もいなかった。とにかく彼に見せつけたい、振ったことを後悔させたい。その一心だった。
そんなやっつけな恋なんて叶うわけもなく、2回の失恋。ズタボロの心の私にとどめを刺したのは、冒頭の言葉。もう一生忘れることはないと思う。
この言葉をかけられて、恋愛はやめよう、危険だ。それに、今の私を好きになる人はいない、そう我に返った。

考えてみて、ダイエットをしていたころの自分は、自分だったけど、「私の好きな」自分ではなかった。ダイエットを始める前、私はいわゆるぽっちゃりだった。でも、食べたいもの食べて、楽しかった。「食べている時の笑顔が最高」、「あなたの柔らかい雰囲気が大好き」なんて言われていた。自分を否定することなんて一度もなかった。

そっか、私のままでよかったんだ。体重と一緒に「大好きな自分」を減らしてしまっていたと気づいた。
今も、ダイエットをしていた頃の癖で、トレーニングを未だに欠かすことはないし、お菓子もほんとに少ししか食べない。でも、心はダイエット前に戻り、自分を好きと思えている。
もし、ダイエットを始めようとしている頃の私に会えるなら、体重と一緒に「大好きな自分」も減らさないで、今のままで、十分素敵だよといいたい。