「逃げていい」と言ってくれた先輩。いじめを告白したら楽になった
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昔から、私は誰かを頼ることが苦手だった。
きっかけは、小学校の授業で答えを間違え、隣の席の子にバカにされたこと。
いじめに遭っていたこともあり、野次を飛ばしてくるクラスメイトがいた。
劣っていることで、いじめがひどくなることが怖かった。
分からないことを誰かに質問したり、困ったときにSOSを出すことができなくなってしまった。
いじめは学校だけで起こるものではない。
大学生のとき、テレビのニュースを見ていて、職場でもいじめがあることを知った。
「大人にもなって誰かをいじめるなんて」と、信じられない気持ちだった。
そのときは、まさか自分が社会人になってもいじめに遭うなんて思ってもみなかった。
私は約1年半、介護施設に勤務していたことがある。
IT企業に就職したが、会社の介護事業で人員不足を補うために、数ヵ月だけ異動してほしいと頼まれた。
学生時代に介護施設でボランティアをしたことがあり、まったく抵抗がなかったので了承した。
利用者さんたちへの食事を作ったり、入浴するときの介助をしたり。
慣れないことだらけだったが、仕事に対する姿勢を上司も利用者さんたちも評価してくれた。
「もっといてほしい」と言われ、いつの間にか1年が過ぎていた。
平穏な日々を過ごしていたが、ある日を境に一変してしまった。
女性社員のSさんから、嫌な態度を取られるようになった。
物を叩きつけられたり、暴言を吐かれたり。
職場いじめ、いわゆるパワハラだった。
当時、上司とSさんが不倫関係にあるという噂があった。
おそらく、私が上司に褒められているのが面白くなかったのだろう。
「女の嫉妬は怖い」と聞くが、毎日が地獄のようだった。
学生時代もいじめを何とか乗り切ったし、今回も我慢すればいいやと思っていた。
しかし、Sさんの行動はエスカレートし、私には限界がきていた。
通勤中の電車で毎日、涙を流してしまうようになっていた。
休みの日にも「死んでしまえば楽になれるのかな」と考えるようになった。
ずっと誰にも相談できないでいた。
そんな中、元気のない私を見て声を掛けてくれたのが、先輩のKさんだった。
Kさんは明るくて面白くて、施設の人気者。
私とは10歳以上離れており、姉のように慕っていた。
Kさんは仕事終わりにごはんに誘ってくれた。
最初はニコニコしながらビールを飲んでいたが、急に真剣な表情になった。
そして、「全部話してみな」と私に言った。
溜め込んでいたものを吐き出すように、私はこれまでのことも、自分の気持ちもすべて話した。
私の話を聞き終えると、Kさんは私にこう言った。
「死んじゃうくらい辛いなら辞めていいと思う」
それからKさんは、同じ目に遭って辞めた人が、他にもいることを教えてくれた。
「我慢しないで逃げていいんだよ。また何かされたら頼ってくれていいからね」
Kさんの言葉を聞いて、私は気持ちが楽になった。
次の日から、私は困ったことがあるとすぐに、Kさんに相談するようになった。
私がSさんに何かされると、Kさんが強く注意してくれた。
私がIT事業の方に戻る日までずっと、Kさんは私を助けてくれた。
あれ以来、Kさんとはなかなか会えなくなってしまったが、今でもあのときの恩は忘れていない。
いざというときに誰かを頼ることは、簡単なことではない。
とても勇気のいることだと思う。
でも、一歩踏み出せば、現状を変えることができる。
頼ることは恥ずかしいことではない。
「誰かに迷惑をかけたら」なんて思わなくていい。
自分のために誰かを頼って、その人が困っているときに恩返しすればいい。
今は周りの人たちに頼りっぱなしの私。
今度は、かつての私のような人に手を差し伸べられる存在になりたい。
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