彼女がいる。「らしい」じゃない。アパレルの彼女がいる。
なのに、女とこんなに長々通話したり、それでいいのか本当に。
職場の同僚である意中の彼と通話しながら、オンラインゲームを楽しんでいた、昨年末の深夜。4時間5分の長電話の最後に待っていたのは、
「言ってなかったっけ?俺、彼女いるんだよね」
という突然の告白だった。
突然のことに忙しなく動く頭の中。とにかく誰かに話を聞いて欲しくて
頭の中が混沌とする。汗が止まらない。彼女のいる人の話なんか、聞けないよ、と電話も投げやりに切ってしまった。
友達とのショッピングで、自分は服1枚、決めて買うことができない、自分には自信がないという話から、どうしてこうなった。圧倒的な自信のなさが、ただ深まってしまった。この電話が最後かもしれない。もう楽しい話も、悩み相談も出来ないのだろうか。
時刻は1時を過ぎている、早く寝なければ。次の日も朝早くから仕事だが、頭の中は、忙しなく動いていた。スマホのメモ欄に、気持ちを吐き出すだけでは余りにも足りない。
そこで、迷うことなく、でも、すがるように、彼との話を知っている大学時代の先輩へLINEを送った。次の日には、別の大学時代の先輩と後輩へもLINEを送っていた。普段頻繁に連絡を取り合う間柄ではないが、迷った時に、話を聞いてもらいたいと思い浮かべた人たちだった。
普段連絡もないのに、悩み相談なんて、と冷静になると、大変不躾であるのは分かる。しかし、切羽詰まると私はとても行動的で、大胆で、自分勝手になるようだ。
話を聞いて欲しいというのももちろんだが、とりあえず誰かに話を投げておかないと、どうにかなってしまいそうという気持ちもただただ強かった。
三者三様の傾聴。耳のいい言葉だけではなく、考えてかけてくれた言葉
結果的には、3人とも返信がきて、電話をする約束をしてくれた。電話ができるという事実だけでも、幾分か楽になれた。
話の内容に関しては、距離をとるべきと分かっているけど、相談できる人を失いたくないと葛藤していること。過去の恋愛と全く同じ轍を踏んでしまっていること。異性として好きという気持ちがわからないということ。好きな人には、依存傾向があること。そして、圧倒的に自分自身に自信がないこと。それが、諸々の根源にあると考えていること。などなど。
まとまりもしない、拙い言葉で話す私に、三者三様に真剣に傾聴してくれていた。
傾聴しながらも、3人とも私に耳のいい言葉だけを並べることはしなかった。
相手方の彼女を思うなら、自分から彼との距離をとるべきという最もな意見(確かに、自分が彼女で、職場の女と、長時間電話してたら、絶対に許さないだろう)。
相手への依存は断ち切ることが難しく、その人に依存しなくなっても、また別の依存先に変わるだけで、根本的な解決はしないのではないかという話。
大袈裟だが、この先、真っ当に人と付き合える気もせず、修羅の道を歩き続けるのかと本気で思った。改めて現実を直視することになり、再度自分を絶望させる。
ただ、私の言うことを全肯定しないことが、今思うと本当に優しかった。有り難かった。
後輩の一言が心に刺さる。自信がなくても行動することの大切さを知る
その中でも、後輩が絞り出した「自信がなくてもいいんじゃないですか?」。
この一言。言われた直後は、なんで、こんなにも刺さってるのか、よく分からなかった。
でも、その時、確かに必要ないのかもな、という気持ちになったのは、紛れもない事実なのだ。
なんでこのことに気づかなかったのだろう。自信なんかなくても、ネガティブでも行動し続けるのが、大事。それが、その時の後輩との話から私なりに解釈して出した結論だ。自信がなくてもいいということが、意図せず、足りなかった自信を与えてしまった。
雨降って、地固まるではないが、固まった地が修羅の道でも、なんとかなる気がする、なんとなく。