手ぶらで学校に行くと、みんなが手作りのお菓子を持ってきていて…
高校一年生のときの話。私は吹奏楽部の打楽器パートに所属していた。
失礼かもしれないが、打楽器のメンバーは男勝りでさばさばしてて、女子~というイメージがない人が多かったから、バレンタインでお菓子を作るなんて想像もしなかった。
だからって訳ではないけど、バレンタインの日、学校に手ぶらでのこのこ行ったら、打楽器の人全員が手作りのお菓子を持ってきた。しかも美味しい。
打楽器に限らず、他のパートの女子たちもかわいいお菓子を配ってて、吹奏楽男子はモテモテだった。でも私はというと……。友チョコをもらう度、お返しできないことが恥ずかしくて隠れたくなる思い。
結局、部活の女子で渡さなかったのは自分だけだった。仕方ないからホワイトデーに慌ててネットで「お菓子簡単」で検索して、慣れないお菓子作りをした。そしてこっそり吹奏楽男子と混ざって一緒に返した……。
バレンタインはお返しスタイルだった私も、告白を考えたことがある
小中学生の時は、どう持ち物検査を通り抜けたのか、友チョコを持ってきた子がいっぱいいた。でも私は先生に怒られるのが嫌だったから、面倒だなと思いながら、休日にわざわざ友達の家に行ってお返ししてた。
あーそうか、小さい時からお返しスタイルだったんだな、と今更ながらに気づく。
文句ばかり言う私だが、思い返せば恋多き人生だった。矛盾してて自分でも呆れるが、バレンタインの時に渡せたらな、なんて考えたことがある。
でもやっぱり渡しただけで周りにからかわれるし、ついでに告白なんてもってのほか、と学生時代、結局渡さず持って帰った経験は一度ではない。
にしてもなんで女子がお菓子を作らなきゃいけないんだろう。なぜ、作ってなかった……、渡せなかった……って恥ずかしがったり、後悔したりする必要があるんだろう。これは女子は料理ができて当たり前という考えが未だに根付いてるからじゃないだろうか。
そう思うと男女平等をうたう世の中で、バレンタインはなくすべきなのではないかとも思う。この日に告白!って定められてるのが嫌だと思う私はわがままだろうか。
バレンタインが始まった意味を知ったとき、少し気持ちが変わった
なんだか承服できなくてモヤモヤしてたとき、「池上彰の学べるニュース」で池上さんがバレンタインについて取り上げていた。
なんでも、バレンタインが生まれたのは、女子が恋愛をすること自体汚らわしいと思われた時代。チョコを渡すという形で女子でも想いが伝えられると、チョコ業者が売り出した、とのこと。
女子であるだけで我慢しなけりゃいけないこともあっただろう。そんな中での2/14だけ獲得できる自由。なんだかロマンチックでいいではないか!その時代なりの男女平等のための力強い一歩だったんだろうな。
まだ「バレンタインは好きか?」と聞かれても、「いや~どうかな」と答えてしまうと思うけど、その一歩に歩み寄りたいとも思った。
今はコロナのせいで(いやおかげで?)、手作りチョコを渡す風習が減ってはいる。毎年チョコ渡すのめんどくさいなんて思ってたけど、今の彼氏と迎える初めてのバレンタイン、チョコを渡してみようかな(もちろんお店のね)。