もし今、貴女に会えたなら。
そう聞いて、真っ先に「会いたい」と思ったのは、貴女。
私の、一卵性の双子の、死別した妹。栞。
存在を知ったのは3歳の誕生日。私の人生を傍で見守ってくれる貴女
出生時に亡くなったので、戸籍上にはないけれど、会えるのを楽しみにしていた私たちの姉が、「赤ちゃんに何もしてあげられなかったから」と付けてくれた名前。気に入ってますか。
私が、貴女の存在を知ったのは、3歳の誕生日。保育園の申し送り事項で、「○○ちゃんはひとり遊びをしてひとりでお話して遊ぶことが多いです」と言われた母が、私に話してくれた。「もしかしたら、○○ちゃんにしか会えないお友だちがいるのかもね!」と、嬉しそうに笑っていたのを、子どもながらに覚えている。
「お友だちの似顔絵描いたら?」と言われて描いた私の絵を見て、母はすごく喜んだ。
私は、貴女に会って聞きたいことが沢山ある。
伝えたいことが、沢山ある。
私の人生をすぐそばで見守ってくれているに違いない貴女。その貴女から見た、私の人生って、どんなものなんだろう。貴女が「命のバトンを渡してよかった」と言ってくれるような、人生を歩めているだろうか。もっとこうすればいいのに、とか、ああしてよ!とかあったら、夢に出てきて教えてほしい。
1つタイミングがズレていたら、生きていたのは貴女だったかもしれない。そう考えると、私は、自分の人生だけではなく、貴女の人生も生きなきゃ、そう思ってしまう。
私が自分の人生の決断に責任を持つことができるのは、貴女の目があるから
いつも、心の中で沢山のこと問いかけてしまってごめんね。貴女が心の中にいつもいてくれる気がして、すごく、頼りにしてしまう。貴女の目があるから、私は、自分の人生の決断に責任を持つことが出来ているのかもしれない。
いつも、ありがとう。
貴女は、戸籍上にはいないけど、確かに私たち家族の一員だということ。沢山沢山、愛されているということ。それがちゃんと、伝わっているだろうか。
多分、貴女に誰よりも会いたくて、貴女の死を誰よりも悲しんで、自分を責めていたのは、私たちを十月十日お腹の中で大切に大切に育ててきてくれた、お母さん。分かっているよね、貴女なら。
出来るのであれば、お母さんに夢の中でいいから、会いに行ってあげて欲しい。そして、「貴女の死が、お母さんのせいではないこと」を貴女の口から伝えてあげて欲しい。
私たちのお母さんは、この20数年間、誰よりもがんばってきたんだよ。そして、貴女の死を乗り越える、ではなく、受け止めて、前に進み、私たち姉妹に沢山の愛情を与えてくれている。
そのお母さんに、労いの言葉をかけてあげてください。がんばってくれてありがとう、と伝えてあげて欲しい。
もし生まれ変われたら、また貴女と姉妹に。その時まで待っていてね
私たち家族の一員として、私の妹として、産まれてきてくれてありがとう。
もし生まれ変われたら、また貴女と家族、姉妹になって生まれ変わりたい。そして、今度こそ、一緒に遊んで、一緒に学んで、楽しい人生を一緒に送りましょう。
その時まで、ちょっと待っていてね。
また会えた貴女に、「私の人生、生ききったよ!」と笑顔で言える日がくるまで、もうちょっとかかりそうです。