今、私は医療系の大学生である。
資格必須の専門分野だから、卒業後にする仕事はほぼ決まったも同然であり、「就活」で考えるのはどこの医療機関にするかだけだ。職種そのものを選ぶことはない。なかった。昨年までは。
就職先も決定し、卒業も間近に控えた時に体調を崩して入院した
就職先も決定し、卒業も間近に控え、医療職としてのキャリアが順調に始まると思っていた昨年。私は体調を崩して入院した。そして休学するしかなくなった。
あまりにも悔しくて、悔しくて、1カ月くらい泣いた。一生分かと思うほど泣いた。しばらく誰とも会えなかった。
過去の決断を後悔して、普通の大学生になればよかったと思った。なろうと思えばなれたのに。周りのほとんどの友人が普通の大学へ進学していく中、私はひとり、医療の道を選んだ。
頭が足りないわけじゃなかった。高校時代は国語や英語の模試で、学年1位になったこともあった。それでも得意分野を捨てて、必死に理科を勉強して、医療の道へ来たのだ。
人の役に立ちたかったから。それなのに、それなのに、どうしてここで……。絶望感と悲しさばかりが渦巻いた。
別に学校を辞めたってよかった。医療だけが生きる道じゃない。高卒でもできる仕事はたくさんあるし、どこかの学校に入り直す手もあった。
やりたくない仕事をしている人のほうが多い世の中なんだから、何もそこまでこだわらなくてもいいじゃない。健康第一。もう潔く身を引こう。
そういう考えも浮かんだ。
「医療が好き」という感情に支えられ、私は大学に復帰した
それでも、あれから半年たった私は今、学校に復帰して、資格をとるために必死で体調を整えている。回復するために、ありとあらゆる行動を起こしている。
なんでそんなに往生際が悪いんだろうと、自分でもたまに思う。普通、入院に至るまで体調を崩したら、さすがに意気消沈して辞める生徒の方が多いんじゃないだろうかと思う。
でも私は、挫折しました、はい辞めますとは言わなかった。
この職業を目指していく中で、確かにつらいことも数えきれないほどあった。だけど、過去も今も私を支えているのは、「医療が好き」という感情だ。単純に好き。だから、くじけてもみじめでも辞めない。
もちろん、好きという感情と、実際それができるかは別問題だ。
例えば私は陸上競技が好きだけど、足はとても遅い。ゲームのチェスが好きだけど、試合をしても10回に1回くらいしか勝てない。それでも好きなのだ。なぜなのかはよくわからないけれど。
辞めたら絶対に後悔するから。自分の信じた道を歩んでいこう
好きなことを仕事にできたら、誰も苦労しない。その分野に対する才能があったら、もっといい。
だけど世の中そう上手くはいかない。どんなに好きでも、運がなかったり、才能がなかったり、向いてないことだってある。他人がうらやましくなって、なんで自分だけと落ち込んだりもする。だけど、「諦めたらそこで試合終了」である。私はまだ終了したくない。
たかが仕事、何をそんなに熱くなって、と思うかもしれない。それでも私にとっては、18歳からのすべてを賭けてきた仕事だ。
今、辞めたら絶対に後悔する。だから、後悔しないと思えるまでは、自分の信じた道を歩んでいこうと思う。それでもだめなら、他の道もあるけれど。
5年後、10年後に、この仕事を選んでよかったと、そう言える自分でありたいなと思う。