29歳、気付けば世間ではアラサーと呼ばれる年齢に到達していた。
看護師として働き始めて7年、後輩が増え指導する立場になっている。周りの友達もキャリアを積みながら順番に結婚して出産し、それをSNSを通じて知る日常を送っている。
そんなときにふと思う、女性にとっての仕事ってどんなだろうと。

大切にすべきは仕事?それとも家庭?本当にしたいことはなんだろう

結婚して3年、遠距離をしていた私達は2人の時間も大切にしたいとゆったり過ごし、そろそろ子どもも、と思う頃にはあとで結婚した友達がどんどん先を越していく。

結婚して引っ越し、転職し、環境が変わったわたしは、慣れるまで何度も戻りたいと泣きながらも自分らしく過ごせる方法を模索し、無我夢中で過ごした。仕事をしているときには辛さを忘れられたため、自分なりの精一杯の気持ちで過ごしていた。その甲斐あってかいつの間にか役職もついた。

そんなふうに忙しく過ごしている間に時間は過ぎて、自分が本当にしたいことはなんだったのかとふと思う。大切に思える人と一緒に過ごしているのに、時々顔を出す不安感は何だろうか。

大切にすべきは仕事?それとも家庭?女性なら直面するであろう分岐点。
両立してうまくやれる人もいるが、わたしは?
きっとどんな答えにも正解はないし、もしかしたらこれから経験していく中でその決断を正解にしていくものなのかもしれない。

仕事に責任とやりがいがある一方、家庭との両立が難しく働きづらい

わたしにとっての看護師の仕事は、人の生死に関わる、責任とやりがいのある仕事だ。初めて人が亡くなる場面に立ち会ったときは、家族に見えない場所でこっそりと泣いた。

人の命の尊さを痛感し、なるべくその人らしい生活が送れるように考えていきたいと思った。治療方針を医療チームで相談し、患者さんを巻き込んでいく。体力勝負でも、少しでも力になれたときの達成感。
しかし女性にとっての仕事は、自己実現ややりがいにもなるが、ときに家庭との両立が難しく、社会で働く上ではまだまだ働きづらさを感じる。

やりたいことはとことんやりたい。元来真面目な性格ゆえ、決めたことは続けること、努力することが大切だと思ってきたけれど、ふとそれを息苦しく感じることがある。そして合わないと思う環境、人付き合いは手放す勇気も大切なんだと少しずつ気づいてきた。

ただ、反対の意見がたくさんあっても自分の味方が一人いてくれる心強さも知っている。この人がいてくれるなら、わたしは頑張れる。取り繕う自分を見て優しいという人より、ありのままの弱い自分を受け入れてくれる存在のありがたさを知っている。

試行錯誤して、もがいて。かっこ悪くても自分の人生を生きている

大切な人のことを思うだけで今日も十分忙しい。

ふと10代の頃思い描いていたアラサーってどんなだったのだろうと思う。当たり前のようにばりばり仕事して、綺麗でかっこいい大人になれるものだと思っていた。
実際は想像通りとはいかないけれど、泣いたり笑ったり、試行錯誤してもがいて、かっこ悪くても自分の人生を生きている。いいことばかりではないけれど人間味があってそれでもいいのかもしれない。

そんなことを思いながら今日も過ごす。明日は、1年後は、どんな1歩を進んでいこう。
10年後のわたし、今は何を思っていますか。