私が初めて「仕事」をしたのは、大学に入ってからだ。それからもうすぐ4年が経とうとしているが、その間に私はいくつもの仕事を経験した。

初バイトで気づいた、稼ぐことと好きなことでお金を得ることは別物

初めての仕事は塾の講師だった。
なぜ始めたのか、もう自分でも覚えていない。しかし、「大学生はアルバイトをしなければ」という固定観念に囚われて、知らぬ間にアルバイトをしていた。
自分は教えることが好きで、教員になりたいと思っていたので、何も考えずに塾講師という職を選んでいた。しかし、それは大きな間違いだった。そこから私は人に何かを教えることが嫌いになった。
「塾」という会社の中で、その会社のルールで、その会社のやり方で、その会社の利益をあげるために子どもたちを利用する、という考えに、私は耐えられなかった。そして、この仕事はすぐにやめてしまった。

そして、私は「お金を稼ぐこと」と「好きなことでお金を得ること」が全くの別物であるということに気づいた。
大人たちはよく、「自分の好きなことを仕事にしなさい」という。これが嘘であることを理解するのに、そう時間はかからなかった。

好きなことでお金を稼ぐことは、そう簡単なことではない。私は人に何かを伝えるのが得意だと思っていた。だから、教育系のボランティアに参加したり、学習支援ボランティアをしたりしていた。
しかし、参加すればするほど、理想と現実の差に幻滅してしまった。私が社会のことを何も知らなかったからだと言えばそれまでなのだが、あまりにも違いすぎたのだ。

「教える」以外に求められることがある。実際は上手く割り切れない

例えば、教職員の仕事といえば、子どもたちに勉強を教えることだと思っていた。しかし、実際には試験を作ったり、中学生なら部活の指導や教室の掃除もする必要がある。
小学校では仕事がもっと増え、給食の準備の手伝いや休み時間に一緒に遊ぶことも仕事内容に含まれる。そして、これらの業務によって教職員は疲弊し、授業の準備をする時間がなくなる。近年注目されている「教員のはたらき方改革」も、このような流れの中ででてきたものであると考えられる。

例えば、塾講師として働いていたときは、生徒との交流が業務に含まれ休憩時間など存在しなかった。そして、授業の準備は時間外業務とされ、時給は発生しなかった。
このような経験から、私は「お金を得ること」と「好きなこと」を完全に分けて考えたいと思うようになった。特に、アルバイトのような非正規雇用では、守ってくれる法がないため、自分で自分のことを守らなければならない。常勤の人にいいように使われたくないから、時給以上の仕事はしない。それを心に留めている。

しかし、そううまく割り切れないのが現実だ。
誰もがいつかは社会人になる。どんな仕事をしても、しなくても、社会に出て、自分の力で生きていくことになる。私もその一人だ。大学を卒業し、自分で生きていくために稼ぐ方法を探す予定だ。

「稼ぐこと」と「好きなこと」が両立できる生き方を見つけたい

どんな仕事に就こうか、まだ私には想像もできない。だから、たくさんの仕事を経験したい。
日本では特に、ひとつのことを成し遂げたり、継続したりすることが美徳とされている。しかし、私はそれと同じくらい、たくさんのことに挑戦できることが素敵なことだと思っている。いろいろなことを経験することは人生を豊かにし、知識を広げてくれる。いろいろな場所に触れることで得られる教養や関心、広がる世界もあるだろう。

3月には就活が解禁され、来年度卒業予定の私は、周りの多くの人と違うことに焦るかもしれない。怖くなるかもしれない。不安になるかもしれない。
それでも私は、仕事が自分の人生にならないようにしたい。稼ぐことと好きなことを両立したい。そんな生き方が見つかりますように。そんな生き方でも生活していけますように。