あの頃の私は、この世で一番の幸せ者だった。
そんなことが一番の幸せなのかと、人生の先輩方には笑われてしまうかもしれないが。
四年ほど前、私にはSくんという彼氏がいた。彼は陸上部のエースで友達も多く、勉強もでき、性格も少しネガティブなところ以外は完璧と呼べる存在だった。
そんな素敵な彼と付き合うようになった経緯は、Sくんが友達の好きな人だと聞いて興味を持ち、そこから仲良くなり恋愛へと発展した。
今思えば最低といわれても仕方のないことだが、当時の私は自分のことを最優先するなんともわがままな女だったのだ。
どういう風の吹き回しかは知らないが、彼は私と付き合うことを選び、それなりに若いカップルらしいことを重ねてきた(ちなみに初デートはイオンのゲームセンターだった)。
一応大きな喧嘩もなく、私たちは一年記念日を迎えた。中学生ともあらば三ヶ月も続けば長い方と思っている人が多い中、一年も付き合った私たちは、自分で言うのも変な感じだが、先生からも応援される学校の公認カップルとなっていた。本当に幸せな日々を送っていたと思う。
一方的に送ったお別れのLINE。けれども、彼は待っていてくれた
一年記念日から二ヶ月がたった頃だった。
一度、彼の気持ちがどうなのか不安になり、試すような行動をとったことがある。しかもそれは彼に気づかれた。
でも、彼は私を怒らなかった。それどころか、当時そのような行動をとったことで周りから叩かれていた私のことをかばってくれた。
自分の行動が恥ずかしくて惨めでたまらなくなった私は、もう彼と一緒にいる資格はないと思い、理由も告げずにLINEで「別れてください」と切り出した。
彼はきっと納得していなかったが、私たちの関係はそこで終わった。
そのまた二ヶ月後、私は本当に身勝手だと自覚しながらも、彼に復縁してもらえないかと頼んだ。彼と過ごさなかった期間はつまらなく、空気が常によどんでいるように感じたからだ。
ありがたいことに、彼は私と再スタートする道を選んでくれた。ちなみに、LINEのお気に入り登録を外さずにずっと待っていてくれていたらしい。
こうして私たちはまた付き合い始めた。中学三年生の受験生という立場でありながらも時間を見つけて連絡を取り合い、よい関係が築けていたと思う。
あれから四回目の春が来た。私の心にはまだあなたがいる
お互い進路も決まって迎えた春休み。突然彼からLINEが来て別れを切り出された。
理由は、「陸上と勉強に本気で専念したいから」と言っていた。
私は、今までありがとう、頑張ってねと精一杯の強がりでメッセージを送った。実は自分の部屋の一番隅っこで、声が出るほど泣いていた。
私、本当にこの人が好きだったんだ。ありきたりかもしれないけど、失って気づいた。
それから高校に進学し、人並みに恋愛もしてきた。だけど失礼なことに、いまいち本気になれなかったし、別れたときも悲しいのはほんの一瞬だった。
でも、たまにSNSでSくんを見かけるたびに綺麗だった思い出が蘇り、また泣けてくる。現にこれを書きながらも私の目には涙が溜まりつつある。
あなたと別れてからもうすぐ四回目の春を迎えようとしています。
あの頃よりは少しは大人になれたかな。
もし今、あなたに会えたら、久しぶり、元気だった?って笑って言えるかな。
もう少し、時間がかかるかもな。