働かずに学生のままでいたかった。“とりあえず”就職活動した

「あなたは仕事が好きですか?」
この質問に胸を張って"Yes"と言える人は、よほど理想的な職に就けたのだろう。または、とてもやりがいを感じている人なのだろうと思う。
私はというと、仕事というものにはまったくの無関心。
人生の約半分を労働に費やさなければならないと思うと、ウンザリしてため息が出る。
仕事の経験年数が多いというだけで、できるのが当たり前、どんどん上を目指せと言われる。
個人的には自分ができる仕事をすればいいと思うし、上の役職に就くことにまったく興味がない。
正直、最低限の生活ができる給料をもらえればいい。

だから、宝くじの高額当選でもしようものなら、すぐにでも辞めてしまうかもしれない。
大学生のときは「このまま働かずに学生でいたいね」と、友人たちとよく冗談を言い合っていた。
でも、ニートになるわけにはいかないので、“とりあえず”周りと同じように就職活動をした。
たくさんの企業にエントリーシートを送った。
食べることが好きなので、“とりあえず”食品関連の事務職を募集している企業を中心に応募した。

しかし、とにかく倍率が高かった。
結果として、全滅だった。
企画された商品を試食できるかも、などと仕事を甘く考えた罰なのかもしれない。
そのうち投げやりになり、“とりあえず”どこでもいいから内定をもらえればいいと思うようになった。

そんな姿勢で臨んでいたせいか、まったく内定をもらえなかった。
ずっと避けてきたIT業界から探さざるを得なくなり、結局、IT企業へ就職することになった。

付け焼き刃で乗り切る。このままでいいのかと悩み転職した

新卒で入社してからやりがいを感じたことがなく、「“とりあえず”この場を乗り切れればいい」という姿勢で、数年間仕事をしてきてしまった。
仕事では何度もヒヤヒヤすることがあった。
それなのに、奇跡的にすべて付け焼き刃の知識で乗り切れてしまった。
その上、私はいつも不安を表情や言葉に出さずに、黙々と仕事をする。
結果として、周りは「犬屋敷さんは仕事ができてすごい」と勝手に思い込み、私を称賛した。
いつしか、自分はこのままでいいのかと悩むようになった。
それに加えて、ワンマン社長のパワハラは年々ひどくなっていく。
「もうここでは働きたくないな」と思う気持ちが強くなっていった。

それから色々あり、現在、私は転職をしたばかり。
またしても、IT企業を選んだ。
小説家になるという夢を追いながら、“とりあえず”経験のある業界・職種の仕事を続けることにした。
IT経験者の私は、入社初日からかなり期待されているようだった。
同期にはパソコン操作の時点で苦労している社員が多く、よく助けを求められる。
教えるたびに「すごい」「さすが」などと褒められる。
しかし、私は以前のような感情は抱かなかった。

笑いの絶えない転職先。不安は消えて仕事にも意欲が出てきた

転職先は人間関係がとても良好。
社長や先輩たちとの距離が近く、きちんと話を聞いてくれる。
みんなフレンドリーで、研修中も絶えず笑いが起こる。
社内にいても腹痛がしないし、息苦しさもない。
むしろ、体調が良くなっていく。

前職だったら絶対にあり得ない状況だ。
地獄から一気に天国へ来たような感覚になっている。
また同じようになるのかという不安も、いつの間にか消えていた。
「仕事で活かせるようにきちんと復習しよう」
「この資格を取ってスキルを磨こう」
どんどん目標が増え、毎日を明るい気持ちで過ごせるようになった。

人は生活するためにお金を稼ぐ。
でも、仕事はただお金を得るためのものではない。
人として大切なことも学べるし、自分を成長させることのできる機会がたくさんある。

それと、働く環境もとても重要だと思う。
何もかもが理想通りの仕事なんてきっとない。
でも、自分が生き生きと働ける職場なら、モチベーションが上がる。
それによって、だんだんと良い方向に向かっていく。
私は転職して良かったと、心の底から思っている。
いつか「仕事が好きで常にやりがいを感じている」と胸を張って言えるように、これから頑張っていきたい。