不安な心を落ち着かせるには食べるしかなかった。体重はピークに

長い転職活動の末、やっとの思いで入社した派遣会社を1ヶ月で辞め、無職になって半年以上が過ぎた。
自分がなりたい編集者にはなれない。なれなかった。「土俵に立つ事すら出来ないのか」と思うたび、胸が張り裂けて涙が溢れてくる。

心の中では何とかしようと思っても、厳しい現実から目を背けたくなるし、憂鬱な日々が毎日のように続く。金銭面や将来の不安に押し潰される。身体が思うように動かず、昼頃まで布団から出ずに寝ていることも多かった。
部屋からも出たくないので、お腹が空いたらUber Eatsで、ジャンクフードを好きなだけ注文した。お金がないくせに。でも、不安な心を落ち着かせるには食べるしかなかった。その頃が一番、体重もピークだったと思う。

当時、私には2年半ほど付き合って同棲している彼氏もいた。毎日のように自分を卑下する事ばかり言っていたので、彼を失望させていたと思う。
「私なんかより、ちゃんと仕事をしている女の人と一緒にいた方が幸せだと思う」
「別れたくなったり、好きな人が出来たら教えてね」
生きる気力もなくなり、彼に泣きながら自分を嘆いた。それでも彼は、私を怒ったり責める事もなく、ただ寄り添ってくれた。
定職にも就かずに家でダラダラしている私にも、彼は仕事へ出掛ける時に「行ってくるね」と声を掛けてくれる。いつも通り接してくれる彼に対して、心の底から申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「ここで頑張りたい!」の気持ちは強く、彼にも喜んで内定を報告した

ずっと無職は恥ずかしかったし、どんなに状況が苦しくても、転職活動だけはやめなかった。
そして、某脱毛サロンから内定をもらい、正社員として入社することが決まった。以前、私も通っていたことのあるサロンでエステティシャンとして働く。美容業界は初めてだけど憧れはあったし、育休制度など充実している点で、「ここで頑張りたい!」という気持ちは強かった。
内定が決まった時は、彼にも喜びながら報告をした。お金の不安も消える。人から「何の仕事をされていますか?」と聞かれても、堂々と答えることができる。
期待を胸に入社当日を迎えた。でも、私はそのエステを1ヶ月で辞めた。

まただ。また1ヶ月で辞めるなんて。入社前は希望で満ち溢れていたのに。どうしてこんなに上手くいかないのだろう。私は社会人として向いていないのかな。もう一生、正社員になれないのかな。自分が弱いと酷く嘆いた。

職場に恨みはない。ただ、私が職場の環境に合わなかった

辞めた理由としては、職場に馴染めなかったというのもあるし、単純にやる気が足りていなかったんだと思う。
女性だけの職場で、新人は私1人だけ。要領が悪いし、自信のなさから声が小さくて現場ではいつも怒られてばかり。上司や教育担当、10年ほど働いているベテラン勢には睨まれ、いつも冷たい視線を感じていた。萎縮してしまい、積極的に仕事をすることも出来ずに雑用ばかりしていた。身に付けていたインカムから、私を名指しする怒りの声がよく聞こえる。

職場に恨みがあるわけではない。エステで働いている年下の子は勉強に熱心だった。休憩時間でも仕事内容について、ノートにまとめていたぐらい。ベテランでいつも冷たい視線を送ってきた人も、お客さんを見送る時のお辞儀がものすごく綺麗で、印象的だったのを覚えている。
職場全体も「みんなで目標に向けて頑張ろう!」という雰囲気があって、とても良かった。人に対しても個々で尊敬できる部分もたくさんあった。
ただ、私が職場の環境に合わなかっただけだ。

エステでの経験を機に、仕事について考えた。仕事上で何を優先するかを考えた時、『休み』と『人間関係』が真っ先に浮かぶ。その次に給与。「こうならなきゃいけない!」とか、雇用形態にこだわるのもやめた。執着し過ぎるのも良くない。

私にとっては、自分が無理をしない環境で長く働ける職場が一番良いのだ。