19歳から始めた一人暮らしも、改めて指を折りながら数えてみると5年も経過していた。
来年で一人暮らしも6年生。
IKEAで家具を買って、Francfrancの食器を集めて……なんて憧れを抱いた生活も、毎日仕事と自宅の往復でバタンキューのルーティン。
カフェ風、ミニマリストと様々目指したけれど、多少散らかっていたほうが我が家らしくて安心してしまうのはご愛嬌だろうか。

一人暮らしが長い二人が同棲。ひとり時間を無性に欲する時に「プチ家出」

そんなお気楽ライフも6年目に差し掛かる頃、私はかねてからのパートナーにプロポーズして頂きめでたく婚約。
籍をいれるまでの半年間、パートナー宅で人生初の同棲ライフを送っている。
18歳で上京してからずっと一人暮らしだったので、毎日誰かと一緒……なんだか不思議な感覚。
お互い一人暮らしが長く、家事分担でもめることも、料理の好みで頭を悩ませることはほぼない。
私は料理や収納が趣味なので、そちらを積極的に担当。綺麗好きで洗濯にこだわりがある彼はその他を担当している。
ただ、圧倒的に減ってしまったひとりの時間だけが、今では無性に愛おしく切ない。
ひとりの時間、ひとりの空間。
それらを無性に欲する時、私は時々、「プチ家出」をする。

ひとりの時間や空間がほしいなら作ってしまえ!
特別大きな喧嘩もトラブルもないが、時々「プチ家出」をしてリフレッシュするのが私の最近のマイブーム。

プチ家出の始点と終点は、大切な人が待っている新しい我が家

とりあえず、自転車に颯爽とまたがり、近所をサイクリングする。
近所は城下町なので、サイクリングするだけでも別世界を味わえる。
昔ながらの「和」の茶色や木材を基調とした町並みは心を和ませるし、季節ごとに変わる素朴な草花にも癒される。
もともと「和」の雰囲気が好んで、神社巡りや御朱印集めが趣味な私には、城下町サイクリングにはたまらない癒し効果がある。
大抵こんな具合でサイクリングを楽しんでから、近所の本屋さんに立ち寄ったりする。
まったりゆっくり気ままに文庫本を読み漁り、お気に入りの1冊と時には運命の出会いを果たしたりする瞬間は愛おしい大切な時間だ。

夕暮れ時にゆっくり帰路につく頃。
頭も心もスッキリとしていて、自転車のペダルを漕ぐ時もどこか軽やか。
柔らかな光の灯る部屋に「ただいま~」と呑気な私の声が響く。
「また『プチ家出』かぁ~」
どこに行くにもできればついて行きたい派の彼。
「お土産だよ」
彼は酒や煙草は一切やらないが、無類の甘党。
「プチ家出」に関しては、コンビニスイーツの賄賂を渡すことで黙認してくれている。

プチ家出の始発と終点の新しい我が家。
大切な人が待ってくれる、帰る場所があるからこそ、私はひとりの時間を楽しむことができる。
これから沢山の物語が始まるこの家で、私のプチ家出編が物語の序章くらいになればいいなと、お気楽に考えている今日この頃である。