あなたは今どこで何をしているでしょうか。
私とあなたはたしかに心友でした。それも心の友と呼び合える仲でした。
いわゆる才色兼備の彼女と私は違う次元。仲良くなろうとしなかった
私には人生でただ一人、心を通わすことを自らしたいと思える人がいます。私と彼女の出会いはドラマのようなモノでした。
中学生の私は、女社会というものに諦めがついていました。一人で過ごすことが多かったものですから、クラスのグループがころころと変わっていくのをただ見ていたのです。昨日は友達のように話していたのに、朝になればシカト。私もイジメの対象だったこともあるでしょう。ですが、その頃には気にすることもバカバカしいと思っていた、と言いたいところですが、本当はただ火種が大きくなるのが怖かったのだと思います。きっとこんなことは当たり前のことだろうと、耐え続けるのが正解だと信じていました。先生が助けてくれるだろうと思うかもしれませんが、火力が弱まっても、火種から消すことは出来ないんですよね。
そして私は2年生に上がり、彼女と同じクラスになったのです。
彼女はいわゆる才色兼備というやつで、頭が良く顔も可愛らしいので、男女共に尊敬されるような存在でした。私はそんな彼女に密かに憧れていたのです。憧れながら私は彼女と仲良くなろうとしませんでした。違う次元だと諦めていたのです。
「仲良くなりたい」と声をかけたくれた日、私の世界に光が差した
そんな私に、運命というものは突然とよく言いますが、本当に突然なんです。ある朝、俯いて廊下を歩いていた私の耳にハキハキした声が届いたのです。
「おはよう!」
顔を上げるとそこには彼女がいました。
「あなたとずっと仲良くなりたいと思ってたの」
頭のなかは真っ白でした。憧れの人が私を見てくれていたことが信じられない。宙に浮いたような、私の世界を変えてくれるような光が差したのです。
それから私たちは毎日挨拶を交わし合いました。
ある日、彼女と一緒に帰っているときでした。彼女は静かな声で、
「人って死んでしまったらどこへ行くと思う?」
と、驚きました。当時の私も、そんなことを考えていました。そして、私たちは日が落ちるまで死と生について語り合ったのです。それが、私が初めて他人に真の自分を見せた出来事でした。自分の考えを話して真剣に聞いてくれる人がいるのだと。人がそんなこと考えても答えなんて分からないだろう、と思うようなことを私たちは語り合い、その空間がお互いに心地よく感じていました。
そして、それは中学を卒業するまで続きました。彼女とはいくつもの言葉を交わし合い、お互いの存在を心友とまで呼べるようになったのです。
真の自分を出せる彼女に出会えたことは、私の人生の転換点
私の人生の転換点の一つはここにあるといえるでしょう。彼女との出会いは私を大きく変えました。自分のなかにあった正義が出てくるようになり、いじめを見て止めに入ったこともあります。それは誰がイジメてこようと、彼女は私の味方であり続けてくれる。そんな私を褒めてくれるという確信があったからです。彼女は私を変えたのです。
親でも、兄弟でも、友人でも、恋人でも、心から真の自分を出せる人に出会えることが人生で最大の幸福だと思っています。
あなたは今どこで何をしているでしょうか。今、あなたに逢ったら私は真の自分を見せることができるでしょう。本気で語らい、思い出話に思いを馳せたいです。
たくさんの時間があっても全てを話しつくせないかもしれません。
それほどあなたに伝えたいことが、たくさんあるのです。
辛い日々のなかでも、この文章を読んでくれたあなたが心の支えになる人を見つけられることを願っています。