フットワークは軽いけど、暇さえあさば読書に走る相反した性格の私

「週末何するの?」
会社の同期からそう聞かれ、決まった予定がなければ私は大概「本読んだりしてのんびりするかな」と答える。

それを聞いた彼女は「ふーん……」と明らかに面白くなさそうな顔になることすらある。
もしかしたら一緒にランチに行こうという誘いがあったかもしれない雰囲気だ。
ただそんな空気を感じようとも、私は決して暇とは言いたくない。

もちろん同期のことも好きだし、休日に一緒にどこかに出かけるのも楽しい。
もともと小旅行なんかは、基本的に予定がダブっていなければ、フットワークも軽めについていくようなタイプだ。
しかし一転、暇さえあれば、喜んでひとりで読書に走ってしまうという相反した内向き志向も備えている私は、決まった目的もなく、わざわざ自分から人を誘って出かけたりするのは得意ではない。

唯一自分から前のめりになって考えるのは、美術館の企画展や映画の鑑賞。それに、常日頃からどこか海外の見知らぬ土地に旅に出たいと考えているので、休暇の予定くらいだろうか。
ただ、このようなコロナ禍となると、簡単に海外旅行に行くわけにもいかない。

そうなると相手側にどうしても行きたいところがないのであれば、特に新しく遊びに行く予定をねじ込む必要もないと思ってしまう。
こんな流れで、次の週末は日がな一日好きなだけ本を読んで過ごしたい、という気分が私には結構な頻度で訪れるのである。

通勤バッグにいつも忍ばせている本。でも平日は時間がとれなくて…

平日は、通勤バッグに常に1冊。
単行本で重かろうと、忙しくて実際は時間がなかろうと、いつでも読めるようにバッグには必ず忍ばせておきたい。

同僚とランチに行かない日。そんなお昼休みは思いがけずに本のページをめくることができる絶好のチャンスへと変わる。

こうして日々、本を開く時間を確保しようと努めるものの、仕事のある平日は、なかなかまとまった時間も取れない。
そして、いざ迎える自分だけの週末も、タイムスケジュールを考えてみると、意外と忙しい。
一日中本を読んでもいられないのが現実だ。

溜まった洗濯に、日用品の買い出し、ごはんの支度やら、何かの振り込み……。
その上で、やっと空いた時間に、存分に本を読む。
ページをめくった瞬間から、時間の流れが変わっていく。
平日はがんじがらめにされる仕事のメールや電話、そしてついでにSNSの通知がなる液晶画面からも少しの間解放されて、全く別の空間に浸る。
そんな素晴らしいひと時を、読書は私にもたらしてくれる。

本棚を占領して私を待つ積読中の作品たち。それでも本に関わりたい

日々、本屋に並ぶ作品やSNSの作品紹介レビューを目にする中で、読みたくなる作品は数限りない。
読み逃したくない作品は、本屋に行くたびについ数冊まとめて買ってしまう。

こうなると、最大の悩みは、読むペースが人に自慢できるほど速くはないこと。
そして、そのペースを、本を買う速度が、を簡単に追い越してしまうこと。
当然の結果として、現在、家では20冊前後の積読中の作品群が、本棚の一角を占領して私を待っている。

大分前に拡充したはずの本棚も、もはや空きがなくなってきたので、一部は古本屋に持ち込んだ後、最近は何とか買うペースを落とそうと我慢の日々だ。
そうこうして購入頻度はわずかに落ちてきたものの、積読本スペースはそう簡単には狭まらない。

さらに厄介なのは、再読したい作品を思いついてしまうときだ。
お気に入りの作品の他にも、映像化やシリーズ物の続刊刊行といったタイミングがやってくると、どうしても、一度読んだことのある作品も読み返したくなってしまうのだ。
どんどん時間が溶けていく。

本に関わる楽しみを挙げ始めるとキリがない。
例えば、散らかった本棚の整理を始めてしまうと、気づくといつの間にかごはんの時間、なんていうこともざらにある。

読書を中心に回る私の世界。楽しい日々を送れる自分は幸せ者だ

こうやって本に没頭するための時間を確保するためには、空いた時間で必要なことをいろいろ済ませておかなくてはならない。そんな週末を忙しいと言わずなんという。
今の私のひそかな夢は、部屋に本棚に囲まれた一角を作り、座り心地の良い椅子とクッションを用意して、お気に入りの読書ゾーンを作り上げることである。
見事に私の世界は、読書を中心に回っている。

彼氏が欲しい、などと訴える友人からすると、「週末は家で本を読むから忙しい」なんていうと、引きこもりだと呆れられそうだし、最近は結婚する友人も少しずつ増えてきたので、自分だけ将来一人きりになってしまうのでは、と不安にならなくもない。
とはいえ、今、私の興味の向く先はやっぱり読書なのである。

圧倒的に時間が足りないのも、単純に自分が読みたい本が多いからこそ。
こんな風に自分の好きなことのために時間をいかに捻出するかを悩みながら、楽しい日々を送れる自分は幸せなのではないだろうか。
もうしばらくこうやって、ひとりで本を読む週末を楽しんでも良いんじゃないかと思う、今日この頃である。