私には3人組の幼馴染がいる。
近所に住んでいることもあり、母親どうしがママ友で、生まれる前から友人になることを約束されているような関係だった。物心がついた頃には母親に連れられてお互いの家に行き来し、遊ぶことが常だった。今思えば母親どうしが会うための名目に過ぎなかったのだろうが、私たちは本当に楽しい幼少期を過ごした。
幼稚園の頃は、家でよくなんとかごっこをして遊んだ。小学校に入りだすと、母親抜きで遊ぶようになった。自転車で公園に行くようにもなった。時々喧嘩もするようになった。2人の中では私が一番勉強ができたため、学校の宿題を解いてあげたりするようにもなった。
中学に入って、私は2人と違う中学へと進学した。それでも2人は学校帰りに家の前で待っていてくれたりして、3人の時間を楽しんだ。電車を使って、文化祭に来てもらうこともあった。
2人と会う時間は本当に楽しく、この時間が永遠に続くと、当時は自信を持って言えるくらいだった。
成長するに連れて会わなくなる幼馴染。そして私だけ進路も違って
そんな幼馴染も年月と共に段々と会わなくなるものだ。会う頻度は徐々に減っていった。しかし、会うことが途切れることはなかった。私たち3人はそれぞれに色んな人間関係や親友を持ちながら、数年に一度会う関係へと発展していった。
A子は美貌の持ち主。そして明るく家庭的で、誰とでも仲良くなれるタイプだ。喧嘩もそんなにせず、友人の多い姉御肌である。
B子は物静かなオシャレ番長。些細なことに気が利き、専門的なことに一直線になるタイプである。
そして私はこの3人の中では、少し真面目すぎるところがあるタイプである。しかし、ちょっと抜けているところがあると自覚している。
こう俯瞰してみてみると、三者三様だ。しかし私はどこか2人とは異質な存在と思っていた。とにかく2人は圧倒的に可愛い。その時点で少しだけ劣っている気が勝手にしていた。そして進んだ道も少しだけ違う。彼女たちは私よりも5年近く先に社会人になっている。
入社前の不安なときに幼馴染がかけてくれた言葉
段々と話が合わないなぁと感じることが多くなった。一生懸命話題を作っている自分がいる時もある。それでも、2人は笑顔で聴いてくれた。沈黙が流れても気まずくないし、なんだか温かな気持ちになっている。
やはり他でできた親友と遊ぶことが多くなってしまうが、幼馴染とも頻繁に会いたいな、そういう気持ちが帰った後には強くなる。もちろんもう少し頑張って話していれば、次会ってくれるかな、という不安もつきまとうが、なんだかよかったなという気持ちになるのだ。
ふとしたきっかけで、私は2人に会うことになった。そして私はやっと就職が決まったことを報告できた。研究の道に進む私のことをどこまでわかってくれるかな、こんな話面白いかな、と少し不安だった。
帰ってSNSを見た時に「自慢の幼馴染」との言葉を見つけた。一番言って欲しかった言葉だ。私はわっと目に涙が溢れた。
これでこれからも私は頑張れる。この言葉だけで力が湧いてくる。友人からの愛に背中をそっと押されて、入社前の不安な自分が少しだけ変わった気がした。