痛そう……。産む前も産んだ後も、こう思う。
そうです、無痛分娩で産みました。
初産で無痛を選ぶ人は少ないし、義理の母に「一回はあの痛み、経験したほうがいいよ」と言われた。
それなのになぜ私が無痛を選択したのか、当時を思い出しながら書いてみる。

立ち合い?無痛分娩?出産プランを尋ねられた私の答えは

約2年前、妊活が上手くいかず落ち込んだ。
人工授精をしてダメだったらお休みしようかなと考えていたけど、妊娠が発覚。
涙が出るくらい嬉しかったのを覚えてる。
その後の妊婦ライフは順調だった。
ある日の健診で、助産師さんに出産プランについて聞かれた。
「立ち会いは?無痛分娩どうする?」
悩んだ、とても悩んだ。
「みなさんはどのような感じですか?」
助産師さんに聞いてみると、
「立ち会いは結構多いかな、お母さんに来てもらう人もいるよ。初産で無痛分娩を選ぶ人は少ないかな」
「やっぱりそうですよね……」
「でも産むのはお母さんだから!一番納得のいく選択をするといいよ!」
この一言で心が軽くなって私は、
「立ち会いなしの無痛分娩で」
と言ったのだ。

立ち会いの事については、夫と前々から話し合っていた。
まず私自身が希望してない事と、夫が血を見るのが苦手な事、すぐ意見が一致したのだ。
なぜ私が立ち会いが嫌だったかというと、正直、産後の夫婦関係が崩れてしまわないか心配だった。

周りからは立ち会い出産を勧められたけど、揺らぐことはなかった

その気持ちがあったからこそ、ひとりの方が集中できると思った。
でも周りには誰ひとり、そんな人はいなかった。
むしろ立ち会い出産を勧められた。
理由を聞くと、出産の大変さや感動を共有できるから。
たしかにそれはそうだなぁ……と心の中で思いながらも、私の気持ちが揺らぐ事は一度もなかった。

そんなこんなで何ヶ月か過ぎた頃、陣痛がきて入院。
夫には仕事に戻ってもらった。
背中から麻酔を入れてしばらくすると、すぅーっと痛みが引いた。
しばらく経って赤ちゃんを迎える準備が整う。
助産師さんの指示に従いながら、力が入らない下半身に集中する。
3回ほどいきんで娘誕生。
初めて抱っこした時はとても感動した。
暖かくて小さいのに重たくて、お腹の中に居てくれてありがとうって思った。

コロナで面会ができなかったので、娘と夫が会えるのは5日後。
退院した日、夫は、
「小さすぎて涙が出そう」
そう言っていた。
心が温まるってこういう事だと思った。

出産にはさまざまなストーリーがある。生まれた瞬間は同じママだ

今、娘は8ヶ月。
毎日育児に奮闘中だ。
“立ち会いをしてない夫”も、一緒に育児を楽しんでくれている。
夜寝れない私をサポートしてくれて、寝不足で仕事に行っていたのが懐かしい。
ひとつだけ心残りなのは、未だに私から娘が生まれたことが信じられないみたいだし、生まれた瞬間のあの感動は唯一無二で、それを体感させてあげられないのは残念だった。
それを伝えても、どうしても血が嫌みたいで、「いや大丈夫!本当に!」と言っている。
でも私の身体も気遣ってくれるし、娘の事も率先してやってくれる。
育児が始まって改めて結婚してよかったと思った。
心配していた夫婦関係も前と変わらず、毎日を楽しく過ごしている。
あの時、納得のいく選択をしてよかった。
他の人が意見していいものじゃなくて、自分に合ったやり方が必ずあるはず。
選択肢があるなら周りの目なんか気にせずに、モヤモヤが残らない出産をしたらいいと思う。
私は今、後悔は全くない。

出産にはさまざまなストーリーがある。
痛みと闘いながら産んだママ、お腹を切って産んだママ。
みんなそれぞれ違うけど、生まれた瞬間は同じママ。
痛みを感じなくても可愛い、たった1人の我が子。
もう一度同じ経験ができるなら、私はまた“おひとり無痛分娩”を選ぶだろう。
痛そう……そう思うから。